日本代表戦をウルグアイはどう戦ったか 主力を欠く急造チームでも「相手の長所を出させない戦い」に成功 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

【ゲームプランどおりの戦い】

「まずはプレッシャーをかけ、日本がやりにくい試合を目指しました。スペースを与えず、そこからのトランジションで攻撃も仕掛けた。すばらしいW杯を戦った日本代表をリスペクトし、ゲームプランどおりに戦うことができました」

 ブロリ監督はそう説明した。

 ウルグアイは短い芝に水を含んだスリッピーなピッチで戦うことにも、次第にアジャストしていった。ルイス・スアレス、エディンソン・カバーニ、ディエゴ・ゴディンなど、一時代を彩ったベテランから世代交代を図るなか、勝負を知り尽くしたチームの真骨頂だろう。好条件でないなかでも、悪い面を出さずに戦うことに長けていた。

日本戦で先制ゴールを決めたウルグアイ代表フェデリコ・バルベルデ(中央)日本戦で先制ゴールを決めたウルグアイ代表フェデリコ・バルベルデ(中央)この記事に関連する写真を見る その中心にいたのが、バルベルデだろう。4-3-3のインサイドハーフというよりは、4-2-3-1のトップ下フリーマン的に入って、巧みに試合を動かしていた。バックラインの近くまで落ちてプレーメイクに参加したかと思えば、前線に入って強度を注入。また、日本を押し込んだらバックラインとボランチの間のスペースに入って、一番効果的で得意なフィニッシュを狙った。

 38分、ゴール正面からのミドルがバーを直撃し、跳ね返りを自らヘディングで押し込んだシーンは、バルベルデの戦術センスの高さが出ていた。遠藤航が1対1の強さで各ポジションを補強していたのを逆手にとって、釣り出されて止められなかったところを利用したプレーだった。その少し前にも、同じようなポイントでボレーを狙ったところ、鎌田大地に阻止されていた。

「中心としてチームを引っ張ってほしい」

 ウルグアイのメディアがバルベルデに求めていることだが、まさにそれを体現したと言える。

 後半30分、ウルグアイは失点を浴び、1-1と同点に追いつかれた。後半途中から、ミドルゾーンで構えたラインが下がり始めていた。長旅や時差の疲れが出た格好だろう。交代選手を繰り出したが、日本を凌駕することはできなかった。

「速さのインテンシティに苦労した」

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