伊東純也「自分のすべてを出しきれた感じではない」。クロアチア戦を振り返り、自身のプレーについて語った (2ページ目)
1-0でリードして終えたハーフタイム。ロッカールームでは、4年前のロシアW杯で敗れたベルギー戦についての話が出た。
「(逆転負けを喫した)4年前のベルギー戦のこともありましたし、『絶対に同じことを繰り返さないぞ』っていうことで、しっかり守って0で抑えつつ、『もう1点、取りにいこう』とハーフタイムに話しました」
だが、もう1点取る前にクロアチアに同点に追いつかれた。後半10分、イバン・ペリシッチにヘディングで合わせられた。冨安健洋と伊東の間に飛んできたクロスだった。
「あれは悔しかった。ヘディングでくるのは想定内だったので、トミ(冨安)と自分でしっかりと対応しないといけなかった」と、悔しさをにじませた。
そこから、日本は相手の前線の高さと中盤の圧に押された。前線の浅野拓磨がボールを収められないこともあって、守備に追いやられる時間が増え、体力を消耗していった。ウイングバックの位置で上下動を繰り返していた伊東もさすがに疲労の色が濃く、プレーがきれると両手を腰に当てる回数と時間が増えた。
後半30分、鎌田と代わった酒井宏樹が右ウイングバックに入り、伊東はインサイドハーフへとポジションを上げた。おかげで、縦ラインでの攻守からは解放されたものの、ドイツ戦、コスタリカ戦、スペイン戦と試合に出続けてきた疲労が、一気に表立ってきた感があった。
「90分を終えた時点では(疲労は)大丈夫でした。(延長戦に入っても)自分ではもっと仕掛けたいっていうのがあったし、体力的にはまだ余裕っていうか、走れると思っていた。相手のサイドバックは、結構足がつりかけて疲れていたんで、うまく(前線のスペースへ)ボールを蹴ればいけるなと思っていたんです。
でも、延長戦に入ってからは、自分もですが、みんなもきつかったと思います。拓磨のところでボールがうまく収まらず、ボールをつなげず......。本当はしっかりつないで、ショートカウンターでチャンスを作りたかったんですけど。PK戦になる前に決めたかったっていうのは自分のなかであったんで、それができなかったのが残念です」
PK戦は自ら手を挙げた選手によって、キッカーと順番が決まった。足に相当な疲れを感じていた伊東は手を挙げることなく、仲間にすべてを託した。
伊東は「決めてくれ、と祈る気持ちで見ていた」という。だが、その祈りは通じなかった。
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