先発メンバー変更がコスタリカ戦の敗因とは言えない。日本の力からして、スペイン戦に自力突破の可能性があるなら御の字 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 それでも日本には、初戦でドイツから奪った勝ち点3というアドバンテージがあった。コスタリカに勝てずとも、勝ち点1を加えることができれば、悪くない結果のはずだった。

「0-0で終わっても悪くはないという感覚でやっていた」(鎌田)という日本は、「不用意に縦パスを入れて(ボールを失って)カウンター(を受ける)というのは嫌だった」(鎌田)。

 だからこそ、横パスやバックパスが目立つことになり、攻撃が消極的に映った感はあるものの、それは現実的な選択とも言えるものだった。

 ところが後半、日本はMF伊東純也、MF三笘薫を相次いで投入したことが功を奏し、次第にチャンスの数を増やしていった。ゴールの予感がにわかに漂い始めていた。

 だが、その代償として、「ちょっと(両チームが攻撃し合って)オープンになったところで、どっちが1点とるか、みたいなゲーム展開になった」(MF遠藤航)。

 そこで起きた痛恨のミス。DF吉田麻也が、自陣でDF伊藤洋輝がヘディングしたボールを簡単にクリアせず、MF守田英正につないでマイボールにしようとしたところを奪われ、逆にゴールを許してしまう。

 結局、勝ち点3どころか、勝ち点1すらも失ってしまったのだから、あまりにも痛い結果だった。

「最低限引き分けたかったっていうのが、正直なところ」(遠藤)
「一番起きてはならない展開になってしまった」(吉田)

 ドイツ戦でのせっかくの歴史的勝利も、その価値は瞬く間に半減した。

 前のドイツ戦から先発メンバーを5人も入れ替えたことを敗因とする見方もあるだろうが、メンバーの入れ替えについては、森保監督の選択を100%支持する。

 先発メンバーをほぼ固定して戦えば、目先の結果はよくても、最終的にガス欠になってしまうことは、東京五輪をはじめとする過去の経験が証明している。日本は力がないからメンバーの入れ替えは無理、ではなく、力がないのにベスト8を目指すのだから入れ替えるべき、なのだ。

「そのために全員で準備して、全員が同じコンセプトをしっかり理解することを共有していた。上に行くためには多くの選手が結果を出して活躍しなければいけない」(吉田)

 目標から逆算してグループリーグを戦うことは当然の策である。それよりも、むしろ主たる敗因はすでに記したように、ずっと抱えていた課題をクリアできなかったことにあるのだろう。

 ドイツ戦後半での成功体験がそうさせたのかもしれないが、森保監督も前半終了を待たずに4-2-3-1から3-4-2-1へと変更し、目先の手当てを優先させた。だが、結果として、その判断が試合をこう着させた面があることも否定できない。

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