鎌田大地が冴えなかった理由を自己分析。超強気な男が意外にも「国を背負う」プレッシャーを口にした (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 あいかわらずの淡々とした口調で、ひとつは「相手の守備」、もうひとつは「W杯の難しさ」が多くのミスを誘ったと話す。

 相手が堅守速攻型のチームであることは、当然ながら事前から把握していた。

「彼らはやっぱりコンパクトだったし、不用意に縦パスを入れてカウンターされるのもチームとしては嫌だったので、うまく相手を動かして、という感じになりますね」

 ただ、その意図はなかなか功を奏することはなかった。また鎌田を中心に、前線の上田綺世、右の堂安律、左の相馬勇紀との関係性もうまくいかなかった。

「(攻撃的な)連係というよりも、守備がハマっていなかったので、いい攻撃につなげることができなかった」

 逆に相手のプレッシャーに苦しみ、リズムを掴むのに苦労した。

 もうひとつ、「国を背負う」ことについてはどうか。

 鎌田はフランクフルトでは、こうした背負うものの重さや精神的なプレッシャーについて言及することはほとんどない。代表はクラブでのプレーの延長線上にあるとし、「クラブで活躍してこその代表」と語るものの、特に代表への思い入れ、フランクフルトへの思い入れを口にすることもない。それよりは、鎌田個人のことについて「結果を出して価値を上げる」ことに重きを置いている節もある。

 かといって、完全にドライかといえばそんなこともなく、「フランクフルトは今の僕を放出できるわけはない」と「今の僕は絶対的な存在」「僕が(PKを)外しても文句を言う人はいない」と超強気であり、同時にフランクフルトへの愛着を感じさせる言葉を口にすることもある。所属先や仲間に愛着はあるものの背負うものがある、ということは感じさせないのだ。

 だからこそ、いわゆる代表、W杯の重みについて鎌田が言及するのは、意外に感じられる。

「うーん、正直、試合をしている時はそんなことは考えられないし、考えてもない。ただやっぱり試合が終わってみると、その1回のチャンスの重みは感じます」

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