日本代表最大の不安材料は森保一監督。終盤の3バック変更は何を意図しているのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

必然的だった勝ち越し点

 その不透明さが1-1で迎えたカナダ戦にも現れていた。筆者はそう見ている。後半40分、森保監督はこの時、いったい何をしたかったのか。その3-4-3と3-4-2-1の中間型のような3バックに変える必要があったのか。ただ3バックをやってみたかっただけではないのか。

 森保監督といえば、サンフレッチェ広島時代には一貫して3-4-2-1で戦っていた。Jリーグのある試合後の記者会見では「これからは3バックが流行ると思いますよ」と、3バックの興隆を予見するようなことも言っていた。言わずと知れた3バック好きの監督として認知されていた。ところが、日本代表監督に就任すると、広島時代、好んで使用した3-4-2-1に別れを告げた。明確な理由を述べことはなかった。

 それが任期の最後のほうになって、3バックを再開した。未練があるのはわかるが、それ以外の理由は不明だ。コンセプトの異なる3バックを試合毎に採用する、なんというか支離滅裂な采配に、それは現れている。

 3バックの問題は、3バックの脇が空くことだ。言い換えればウイングバック(WB)の背後だ。相手はそこを突くのがセオリーとされる。この試合でいえば、右センターバック(CB)谷口彰悟の右横であり、右SBから右WBにポジションを変えた山根の裏である。後半の追加タイムに、山根が裏を突かれ、反則を犯した大元の原因が、布陣の変更にあることは言うまでもない。布陣の特性に基づけば、起きるべくして起きた事故になる。

 カナダ戦の終盤はちょっとした撃ち合いになっていた。いわゆるオープンな展開で、どっちに転ぶかわからない状況だった。そのタイミングで森保監督は布陣を変更した。もし攻撃的に出たいのなら、4バックのままでも十分対応できる。4-2-3-1の1トップ下を南野拓実から、FW系の選手(前田大然とか)に代えて4-4-2的にするとか、概念的には4-2-3-1よりさらに攻撃的とされる4-3-3に移行するとか、4バックの範囲内でも選択肢はあったはずだ。

 にもかかわらず、森保監督は3バックに変えた。3バック好きの虫を抑えることができないようにも見える。危険と言わざるを得ない。

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