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日本代表W杯メンバー候補に躍り出た相馬勇紀。最大の武器はコンビネーション能力にあり (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

三笘薫、南野拓実に迫れるか

 平凡な内容で引き分けた中国戦でも、相馬は終盤に交代出場すると、わずかな時間ながら左サイドを切り裂き、流れを変え、チャンスを作り出した。サイドから「個」のドリブルで崩せるのは、相手をKOするブローとなる。

 韓国戦の前半18分、相馬は敵陣で味方と連係して相手ボールホルダーを挟み込み、奪い返した。一気に持ち上がり、相手ディフェンスの寄せが甘いと判断すると、シュートまで持ち込んでいる。ボールはファーポストをたたき、ネットを揺らすことはできなかったが、ひとりでも勝負できるのは強力な武器だ。

 プラスアルファ、相馬はプレースキッカーとして有力である。香港戦は先制点をFKから右足で叩き込んでいる。韓国戦も2点目を、左CKから完璧なボールを佐々木翔のヘディングに合わせた。

「結果は出せてよかったですけど、これからレベルが高くなるし、足元を見つめて頑張ります。守備でもハードワークで戦えるところを出せるか。守備から攻撃へのプレーのところだったり、ひとつひとつに集中して」

 香港戦後、相馬はそう殊勝に語っていたが、大会3試合を通じ、最も「戦える選手」だった。チャンスを作っただけでなく、実際にゴールやアシストという結果で叩き出したことは賞賛に値する。大会MVPは順当だった。

 相馬は試合を追うごとに、プレーの質を上げていた。戦いのなかで技量を高められるタイプなのだろう。ひとりのドリブルで防御ラインを突破し、オフザボールの動きでストライカーのように得点エリアに入り込むことができた。

 これにより、欧州組も含めた「フル代表」の有力な左サイド、三笘薫と南野拓実のバックアッパー候補までは序列を上げている。三笘ほどの爆発的な崩しの力はないし、南野のプレーのパワーと連続性、あるいは得点力もない。しかし、平均点では両者に追随するはずで、十分に攻撃のオプションになる。特に南野は、センターのゴールに近いポジションのほうが最大限の力を発揮できるはずで、適性という問題もあるだろう。

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