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なでしこジャパンE−1連覇も、見えない突破口。W杯まであと1年で「試合を読むリーダー」は現れるか (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 photo&text by Hayakusa Noriko

もう一歩踏み込んだ姿が見たかった

 自国開催の大会での2連覇を「最低限の結果」と表現したのは植木だった。その表情は決して明るいものではなかった。それは選手たちに共通の想いのはずだ。池田監督は女子アジアカップでの教訓をもとに韓国戦で「ロングボールの対策」、タイペイ戦で「相手の守備プレスに対する準備」、中国戦では「ダイナミックな攻撃対応」とそれぞれテーマを持って臨んだ。

 韓国戦では確かにロングボールと相手の勢いに対し、明確なクリアで対抗し、不用意にボールを奪われて失点した前回の対決の二の舞を防いではいた。だが、それに終始し、誰がいつどこで攻撃のスイッチを入れるのかが、曖昧なまま90分が過ぎていった。2ゴールに救われたが主導権を握らずしての勝利は快勝とは言い難かった。

 格下のタイペイ戦での1失点はいただけなかったが、セットプレーや多彩な攻撃で4ゴールを奪取。織り込み済みの勝利であっても、主力入りを目指す選手たちのパフォーマンスとしては評価できる試合だった。

 それらを踏まえた上での中国戦だった。確かに守備もハマり、カウンター対応もソツなくまとめ、攻撃でも主導権は日本が握っていた。だからこそもう一歩踏み込んだトライを見たかった。

 現状、鼓舞する選手はいても、試合を"読む"リーダーとなる選手がいない。こればかりは経験値がモノを言う。自然に身につくのを待てば年単位でかかるだろう。主導権を握っていてもいなくても、読む力は必須。後手に回った韓国戦、勝利を取りこぼした中国戦、どちらも読む力を備えた選手がリードしていれば、どこかで突破口は見いだせたはずだ。

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