E-1中国戦の日本代表選手を独自採点。0-0のゲームで存在感を示したメンバー、評価を下げたメンバー

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

選手たちも危機感を抱いたほうがいい

 大量6ゴールを奪った香港戦から一転、ゴールレスドローに終わった中国戦は、森保ジャパンにとって見どころと収穫の少ない試合となった。

序盤からチャンスに絡んだ脇坂泰斗だが、日本代表は1ゴールも奪えず序盤からチャンスに絡んだ脇坂泰斗だが、日本代表は1ゴールも奪えずこの記事に関連する写真を見る「今日勝っていたとしても、韓国に勝たなければ優勝はないと思っていました。これで引き分けでの優勝はなくなりましたが、(次の韓国戦に)勝って、サポーターのみなさんと喜びを分かち合えるよう、勝利と優勝をつかみ取りたい」とは、試合後の森保一監督の弁だ。

 星勘定としては確かにそうかもしれないが、スタジアムに足を運んだファンは、一度もゴールシーンを拝めなかったこの日の日本に、さぞかし落胆したことだろう。

 とりわけ、攻撃が停滞していた後半の選手交代策は、ゴールをこじ開けるためのアイデアに欠けていて、どちらかと言えば、予め決めていたカードを切っただけの印象。単純に選手を入れ替えただけでは、さすがに5-4-1の布陣で引いて守る相手を混乱させることはできなかった。

 そういう意味で、この試合でも露呈した森保監督のベンチワークの課題が、ゴールレスに終わってしまった最大の要因と考えられる。

 一方、この試合に出場した選手たちも、ほぼU-23の中国から1ゴールも奪えなかったことについて、危機感を抱いたほうがいい。

 この試合で存在感を示せたのは、序盤から質の高いプレーでチャンスに絡んだ脇坂泰斗(川崎フロンターレ)と、個人の力によって右サイドを打開した宮市亮(横浜F・マリノス)のふたり。ダブルボランチの一角でプレーした橋本拳人(ウエスカ)も持ち味を出した選手として挙げられるが、残念ながら、シュートを決めるべきシーンで決められなかった。

 逆に、存在感を示せずに評価を下げてしまったのは、キャプテンマークを巻いて左サイドバックを務めた佐々木翔、慣れない左ウイングで先発した森島司(以上サンフレッチェ広島)、そして代表デビューを飾った1トップの細谷真大(柏レイソル)の3人だった。

 このなかで代表経験の多い佐々木は、序盤にミドルシュートを放って勢いに乗るかと思いきや、その後は効果的な攻撃参加ができず、内側にポジションをとった森島との効果的な絡みを見せられずに終わった。

 広島のチームメイトでもある森島のプレースタイルは熟知しているはずなので、5バックに対する攻撃として、スタートポジションと攻撃ルートの工夫は必要だった。

 いずれにしても、次の韓国戦は優勝決定戦だ。さすがに試合展開として守備をする時間が増えることが予想されるため、GKも含めた守備陣にとっては、E-1サッカー選手権で初めて真価が問われる試合になるはずだ。

 今度こそタイトルを獲得できるのか。森保監督のベンチワークも含めて注目したい。

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