森保ジャパン、衝撃の現状。布陣の意図と運用方法が明確に共有できていない (4ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

攻撃的な布陣変更も通用していない

 日本の攻撃に変化が見られるようになったのは、1点のビハインドを背負ったあと、浅野拓磨を下げて古橋亨梧を、鎌田を下げて三笘を起用した60分以降のことだった。ここから日本の布陣は明確な4-2-3-1に変化し、トップ下に南野が移動。伊東と三笘が幅をとり、中央の2人(古橋、南野)にボールを受けるスペースが生まれた。

 60分以降、それまで4本しかなかったくさびの縦パスが7本に増加。サイドからのクロスも、4本から8本に倍増し、シュート数も1本から5本に増えている。その傾向は、右ウイングに堂安律、トップ下に久保建英を投入した71分以降も変わらなかった。チュニジアがリードを守る戦い方に変化したにせよ、後半の日本のボール支配率も67.8%にアップした。

 もっとも、4-2-3-1に布陣変更したところで、効果的な攻撃ができていたかと言えば、そうではなかった。パラグアイ戦、ガーナ戦でもそうだったように、日本の攻撃はピッチに立つ選手のアドリブに委ねられているため、一定のレベル以上の相手に対してはほとんど通用しないことは、過去の例からも実証済みだ。

 そもそも、「4-1-4-1から4-2-3-1に変える部分は、選手に私から指示をするなど、選手たちが対応できるように試合展開によって準備しなければいけない」と、森保監督が試合後に振り返ったように、チームとして明確に布陣変更の意図と運用方法を共有できていないのが現状だ。

 ドイツ戦、スペイン戦を想定したブラジル戦でも手応えは得られず、パラグアイ戦、ガーナ戦、そしてチュニジア戦でも、攻撃面に課題ばかりが残った森保ジャパン。4-3-3を基本布陣にしたいという意図は見て取れたが、攻撃的に出なければならない戦況で、どの選手によってどの布陣を採用するのか、いまだはっきりしていない。

 9月に予定される2試合で、本当に本番用の戦い方を明確化できるのか。現状を見る限り、不安材料だけが山積する。

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