長友佑都を初めて見てから15年。不死鳥のように何度も蘇る「有言実行男」は、またも逆境を跳ね返すか (2ページ目)
長友が見せた鬼気迫るプレー
6万人以上の大観衆が詰めかけたブラジルとの一戦、長友は定位置の左サイドではなく、15年前と同じ右サイドに入っていた。
「左も右もすごくいい選手がいるので、僕のなかでは毎回生きるか死ぬかの戦い。今日は特に、守備ができなかったり1対1で負けていては世界では通用しないし、終わりくらいの気持ちで臨んでいました」
その覚悟が長友を突き動かしたのだろう。立ち上がりから鬼気迫るプレーで、カナリア軍団と渡り合った。
同サイドで対峙したのは、FWビニシウス・ジュニオールだ。今季急成長を遂げた21歳は、レアル・マドリードを欧州王者に導く活躍を披露したばかり。しかし、長友はその怪物級のアタッカーに自由を与えなかった。
ビニシウスの状態がよくなかったとの指摘もあるが、ネイマールと同様にボールを持てばやはり何かを起こしそうな気配を存分に漂わせていた。
そんな相手に長友は翻弄されることなく、粘り強い対応で危険な場面を作らせない。前半終了間際に一度だけドリブルで独走されそうになったシーンがあったが、懸命なプレスバックで追いすがり、板倉滉(シャルケ)との連係で侵入を防いでいる。
「相手が強くなるほど自分の実力を発揮できると言いましたけど、モチベーションも高かったし、ビニシウスに仕事をさせないという強い気持ちで試合に入りました」
言葉どおりに長友はビニシウスに仕事をさせず、63分にピッチから退かせている。
「味方のサポートもあって止められることができた。まだまだやれるということを感じさせてくれた試合でした」
しかし、またしてもブラジルには勝てなかった。
長友にとってブラジルは、何度も煮え湯を飲まされてきた相手である(長友だけではなく日本サッカーにとっても)。これまでに4度対戦し、0−4(2012年10月)、0−3(2013年6月)、0−4(2014年10月)、1−3(2017年11月)とすべてが完敗だ。
2 / 3