森保サッカーを象徴する0-1の敗戦。選手選びの優先順位と攻撃の限界
2022年カタールW杯の優勝予想で、英国ブックメーカー各社から本命に推されているブラジル。世界ランキングでも首位に立つ強者に対し、日本がPKによる1失点のみで敗れたとなれば、善戦ムードを煽ろうとする記事で溢れかえるのではないかと心配になる。
善戦か否か。他の競技のコンセプトに基づけば善戦かもしれないが、サッカー的にはひと言では語れない複雑な問題だ。同じメンバーで次戦を戦えば0-2、0-3になるのは固い。差は詰まるどころか、逆に開くと筆者は推測する。ただしこの際、惜敗かどうかを考察することより重要なのは、出場した日本代表選手の顔ぶれになる。森保一監督がこのブラジル戦に、自らが思い描くベストメンバーを並べたことは明白だった。
先発と交代は以下の通り。
GK権田修一、DF長友佑都、吉田麻也、板倉滉、中山雄太、MF遠藤航、原口元気、田中碧、FW伊東純也、古橋亨梧、南野拓実
原口→鎌田大地(後半開始)、古橋→前田大然(後半22分)、伊東→堂安律、南野→三笘薫(後半27分)、長友→山根視来、田中→柴崎岳(後半36分)
試合後に健闘を称え合う吉田麻也とネイマールこの記事に関連する写真を見る ケガや合流が遅れた4選手(守田英正、冨安健洋、浅野拓磨、菅原由勢)とGKを除けば、谷口彰悟、伊藤洋輝、上田綺世、久保建英の4人がベンチを温め続けたことになる。このうち、途中交代しづらいディフェンダーで、4日前のパラグアイ戦にもフル出場している谷口と伊藤を除くならば、優先順位の低い選手として上田と久保の2人の名前が、浮かび上がる。
久保はマジョルカでプレーするが、レアル・マドリードが保有権を持つ選手だ。この日、ブラジル代表の左ウイングとして先発したヴィニシウス・ジュニオールとは、レンタルに出される前に同チームで一緒にプレーした過去がある。この日は同じ土俵に立ち、スペイン方面に向けてさぞやアピールしたかったに違いない。
それが適わぬばかりか、森保ジャパンでも苦しい立場に立たされていることが白日のもとに晒される格好になった。堂安と優先順位が入れ替わったことは確かである。今シーズン、欧州のクラブシーンで最も成長した若手選手とされるヴィニシウスとの比較でも、その苦しい現状が露わになる。残る2戦(10日・ガーナ戦、14日・キリン杯決勝)で久保は、森保監督からどのような扱いを受けるか、目を凝らしたくなる。
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