森保サッカーを象徴する0-1の敗戦。選手選びの優先順位と攻撃の限界 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

優先順位の高い長友と原口

 一方、当確の印がつきそうな勢いにあるのが、この日右SBでプレーした、36歳でW杯本番を迎える長友だ。懐疑的な視線を投げかける人が多いなかで、そのヴィニシウスの動きを封じたとして、讃えようとするメディアは少なくない。森保監督は前戦のパラグアイ戦で、長友を丸々1試合休養させた。このブラジル戦に万全なコンディションで臨ませようとした。しかも右SBとして、だ。

 森保監督の寵愛のほどを、そこにうかがい知ることができる。試合後の記者会見で、長友についての質問が飛ぶと、待ってましたとばかり、「長友がヴィニシウスを抑えた。対人プレーで強さを見せた。世界のトップで経験してきた力の持ち主だ」と、惜しみない賛辞を送ったものだ。

 だが長友は実際、ヴィニシウスをどれほど抑えただろうか。ヴィニシウスのプレーに冴えがなかったことは事実ながら、それと長友のプレーはどう関係するのか。そもそも長友は活躍をしたのか。右ウイング伊東純也をどれほど下支えすることができていただろうか。サポートに駆け上がったのはわずか一度。今日のSBとして、専守防衛に徹する姿を活躍と言えるのか。

 原口が好みであることも、再確認することができた。前戦パラグアイ戦で、インサイドハーフとして先発した2人(原口と鎌田)のうち、次戦も先発で使いたくなる活躍をしたのは原口ではなく鎌田だった。

 なぜ柴崎ではないのかという疑問も同時に湧く。インサイドハーフといえば、W杯アジア最終予選の終盤は、守田と田中で乗りきってきた。柴崎は2人の勢いに押され、出場機会を減少させたが、守田がケガで欠場している今回も出場時間は少なめだ。ブラジル戦では先発のみならず、交代の1番手も鎌田に譲った。 

 チーム内で優先順位を落としているのならば、久保、柴崎の2人を、筆者は今回、招集外にすべきだったと考える。その代わりに新たな、上がり馬的な選手を加えたほうが、チームは活性化する。勢いが生まれる可能性がある。

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