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【日韓W杯から20年】2002年ワールドカップの日本の4試合。日本らしさの否定による勝利とトルシエの謎采配 (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

2002年6月18日/ラウンド16 
日本 0-1 トルコ

先発の2トップを変えた日本。ラウンド16のトルコ戦のメンバー先発の2トップを変えた日本。ラウンド16のトルコ戦のメンバーこの記事に関連する写真を見る

不可解な采配

 グループステージを首位で通過した日本代表は、ラウンド16でトルコと対戦した。2位のベルギーはブラジルと当たっている。ブラジルを回避できたのは大きく、ベスト8への期待は膨らんでいた。

 ここでトルシエ監督は驚きの采配をみせた。チュニジア戦は「意外」だったが、トルコ戦は「驚き」だ。それまでの柳沢、鈴木の2トップに代えて、西澤明訓、三都主アレサンドロ。柳沢の負傷、鈴木の疲労という背景はあったが、左ウイングバックが定位置だった三都主のFWは奇策と言える。

 トルコは、右サイドバックが弱点という分析をしていたようだ。そこに三都主をぶつける作戦はわからないわけではない。相手を驚かせるのも戦術である。ただし、この突然の変更に、日本選手のほうがギクシャクしてしまったかもしれない。

 三都主のスピードと技巧は相手にとって脅威になっていて、最大のチャンスはバーを直撃した三都主のFKだった。起用そのものは間違いとは言えないだろう。しかし、新しい2トップが日本の攻撃に何かを与えられたわけでもなかった。

 12分にトルコが先制している。中田浩のミスからCKを与え、ウミト・ダバラが正面からフリーのヘディングで叩き込んだ。ゾーンで守る宮本恒靖と松田直樹の中間、ゾーンではありがちとはいえ誰も競れず、真正面からシュートされたのは残念な守備だった。

 攻撃も噛み合わず、FKのサインプレーが企画倒れになり、甘いパスやクリアの空振りなど、全くリズムをつかめない。三都主のFKがバーを叩いたのが前半唯一の見せ場だった。

迷走の後半

 後半から稲本に代えて市川。さらに三都主を鈴木に交代。市川の登場はチュニジア戦と同じだが、いつもと違うFWで先発させた三都主をここで引っ込めたのはよくわからない。市川のクロスを狙うには西澤、鈴木のほうがベターという判断だろうか。

 61分に市川のクロスを西澤がヘディングで狙うがGKにセーブされる。中田英のパスから交代出場の鈴木と西澤にチャンスがあったが決めきれず。

 残り時間10分となったところでサミアコーチが動いて交代を準備、森島が市川に代わって入ったのが残り4分。迷走と言っていい。

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