サッカー日本代表4連戦、福田正博の注目は上田綺世、伊藤洋輝、代表復帰組。課題は選手の組み合わせ (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

初招集の伊藤洋輝に期待

 ふたつ目の注目ポイントは、今回のメンバーで唯一の初招集選手となる伊藤洋輝だ。昨夏にジュビロ磐田からシュツットガルト(ドイツ)に移籍して急成長を遂げた23歳のDFが、代表を突き上げる存在になれるか。代表で戦えることを証明できれば、日本代表にとっての追い風になると感じている。

 伊藤の魅力のひとつは、左足でのロングフィードの精度の高さ。また186cmという長身で、日常的に体格の大きなドイツ選手たちと競り合ってもいるため、フィジカル面での不安要素は小さい。さらに、ポジションも3バックの一角、4バックのセンターバック(CB)、左サイドバック(SB)、ボランチと、複数のポジションでプレーできるメリットがある。この4試合でのパフォーマンス次第では、日本代表に定着する可能性があると見ている。

 とくに期待しているのが、左SBでの起用だ。このポジションには長友佑都(FC東京)がいて、中山雄太(ズヴォレ/オランダ)も控えているが、長友は今季のJリーグでは右SBで起用されることが多い。ドイツ戦を想定すればSBの高さも重要になるため、高さのある伊藤には力を示してもらいたいと思っている。また、冨安健洋(アーセナル/イングランド)の足の状態を考えれば、伊藤にはCBのバックアッパーとしても期待している。

 その冨安は今回の強化試合に名を連ねているが、いまは足の状態を考えれば無理して使う必要はないだろう。それでも彼を招集する判断をしたのは当然だと思う。

 なぜなら、冨安は日本代表の守備の大黒柱だからだ。昨年11月の日本代表戦を最後に長くチームから離れていたが、このブランクを埋めるようなチームマネジメントをするのは当然だ。試合に起用しなくても代表招集によって信頼感を示し、練習やミーティングから代表の一員としての自覚を促していく狙いがあるのだろう。

 3つ目のポイントは、代表復帰組がどういう存在感を示せるか。鎌田大地はフランクフルト(ドイツ)のヨーロッパリーグ制覇に貢献し、堂安律もPSV(オランダ)のカップ優勝、リーグ2位の立役者になった。セルティック(スコットランド)で移籍直後から華々しい活躍をしながら故障で長く戦列を離れた古橋亨梧をどの立ち位置で使うのかも含めて、彼らの力を活かす方法を見つけ出す。これが今回の強化試合の最大の焦点にもなってくると思う。

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