サッカー日本代表4連戦、福田正博の注目は上田綺世、伊藤洋輝、代表復帰組。課題は選手の組み合わせ

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

福田正博 フットボール原論

■サッカー日本代表は、6月の4連戦からカタールW杯本大会に向けた強化に入る。本番のグループリーグで、スペインやドイツに対抗するためのチーム作りとして、注目すべきはどこになるのか。福田正博氏は3つのポイントを挙げた。

上田綺世は4連戦で大迫勇也を上回る評価を得られるか上田綺世は4連戦で大迫勇也を上回る評価を得られるかこの記事に関連する写真を見る

上田綺世は存在感を発揮できるか

 日本代表のカタールW杯本大会に向けた強化がいよいよ始まる。6月2日のパラグアイ戦を皮切りに、ブラジル、ガーナ、チリかチュニジアとの4試合に臨む。

 この4試合を通じて日本代表が見出したいのは、11月のW杯グループリーグで対戦するドイツ、スペインに通用する攻守のバランスだ。そのために森保一監督は選手をさまざまな組み合わせで試しながら、これまでテーマにしてきた「いい守備から、いい攻撃」を高めていくのではと思う。

 今回の強化試合には28人が選ばれているが、DF陣は比較的シンプルな組み合わせになるだろうと予測できるのに対し、頭を悩ませそうなのが攻撃陣だ。特長の明確な選手たちが多いが、誰と誰を組み合わせるか、どう配置するかによって攻守のバランスは大きく変わっていく。それだけに、森保監督がこの4試合をどう使い、そして選手たちの動きをどう見極めていくのかに注目だ。

そのなかで私は、3つのポイントが見どころになると思っている。

 ひとつ目が、これまで1トップを務めてきたFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)が選考外になり、この機会にポジションを奪いきれる選手が現れるのかという点。

 上田綺世(鹿島アントラーズ)に注視している。今シーズンのJリーグで得点ランキングトップの10ゴールを奪っている(5月29日時点)上田は、DFラインの裏へのスペースにも走れるし、ロングボールをヘディングで合わせる得点パターンもある。これは押し込まれる展開が予想されるW杯のグループリーグを戦ううえでは大事な要素になるだけに、上田にはこのチャンスをしっかりモノにしてもらいたいと期待している。

 上田が自分自身への評価を、「大迫がいない代わり」から「大迫より上回っている」に変えるには、ゴールという結果はもちろん、試合のなかで消える時間帯をどれだけ解消できるかもポイントになるだろう。

 上田はJリーグの試合でも、存在感がなくなってしまう時間帯がある。ボールから離れる動きをしながらパスを引き出すプレースタイルなので、仕方ない面はあるにせよ、W杯本大会でその時間帯が長いと日本代表は苦しくなってしまう。それだけに、上田には攻守両面のほとんどの時間帯でしっかり存在感を発揮してほしいと思う。

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