岡野雅行が選んだ自身の代表ベストゲーム。なんと「ジョホールバルの歓喜」ではなかった (2ページ目)
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日本代表のスーパーサブ候補――。それが、岡野に対する見立てだったのだろう。
実際、練習のなかで行なわれる紅白戦でさえも、「結構、(ピッチの)外から見ていることが多かった」と岡野。「紅白戦でも(メンバーから)外されるのか、という苛立ちもありました」。
だがその一方で、紅白戦途中に「岡野、入れ!」と声がかかる時は、大抵レギュラー組に入れられた。単なるサブという扱いでなかったのは確かだが、裏を返せば、端から先発候補とも考えられてはいなかった。
まして国際試合となれば、岡野が先発メンバーに名を連ねることは極めて稀だった。
「だから、いつも試合を見ながら、(自分の出番がくるような)『苦しい試合展開になればいいのにな』ってずっと思っていました(笑)」
そんな岡野のモヤモヤを察知したかのように、試合中、スタンドから「岡野コール」が起こることもあった。
「あれは、すごくうれしかったですよね。無理やり、監督が(岡野を)出すしかないみたいな雰囲気にしてくれて(苦笑)。なんか、ずっとそんな役割でしたよね」
自身のベストゲームに選んだウルグアイ戦もまた、岡野は途中出場だった。
格上のウルグアイを相手に厳しい展開を強いられるかに思われた試合は、しかし、日本が次々に得点を重ね、68分までに4-1とリードを奪っていた。
チーム4点目、自身2点目となるゴールを決め、お役御免となった三浦知良に代わり、岡野がピッチに入ったのは、73分のことだった。
ところが、大量リードに気が緩んだのか、日本は岡野投入からのわずか5分間で2失点。たちまち日本のリードは1点に縮まり、勝負の行方はわからなくなった。
当然、岡野が心中穏やかでいられたはずはない。
「僕が途中から出たのに同点に追いつかれたら、また印象が悪くなる。試合中は、ずっとそう思っていました。『自分が入って、逆にいい流れを潰しちゃったのかな』という感じで、ピッチに立っていたのを覚えています」
だが、幸か不幸か、敗色濃厚だったウルグアイが1点差まで迫ってきたことが、試合の潮目を再び変えた。
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