日本はドイツ、スペインと同組。「死の組」ではなく「無風区」をどう戦うべきか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

世界を驚かせるチャンス

 過去、本大会ベスト16が最高位の日本にとって、W杯の戦いは敗戦覚悟の戦いだ。もともと優勝の可能性はほぼゼロ。目標に掲げたベスト8にしても、達成できたら万々歳の結果だろう。

 くり返すが、日本はいつか必ず負ける宿命にあるチャレンジャーなのだ。英国ブックメーカー各社は、日本を優勝予想で32チーム中、30番目に挙げている。最大手のウィリアムヒル社の倍率ではなんと400倍だ。その立ち位置を再確認させられることになった今回の抽選結果だと言える。初心を忘れるな。日本はここらで一度、原点回帰せよと、サッカーの神様から戒められたような気がする。

 日本が戦うグループEは、世界的に見れば無風区だ。注目度は低いが、ドイツ、スペインは人気チームだ。ブラジル、アルゼンチンに比肩する有名選手で占められている。ドイツ対日本。スペイン対日本の世界的な視聴率は高いと考えられる。日本は間接的に世界の注目を浴びることになる。ドイツ、スペイン両国民のみならず、世界のファンを驚かせるにはまたとない機会なのである。忘れてはいけないポイントだ。

 勝つことができれば、それこそ最高だが、たとえ敗れたとしても、世界のファンから祝福される可能性がある。「日本、すごいじゃないか」と、力を認めてもらうことができる。そのチャンスが今回は2回も与えられている。日本のサッカーを世界に宣伝するまたとない機会。その貴重さを協会、森保監督、さらには最終メンバーに選ばれた選手には、いまいちど認識してもらいたい。この抽選結果を喜び、励みにしてほしいものである。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る