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日本はドイツ、スペインと同組。「死の組」ではなく「無風区」をどう戦うべきか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

「絶対に負けられない戦い」ではないからこそ

 初出場した1998年フランス大会では、抽選会が終わるやほとんどの解説者、識者が2勝1敗、グループリーグ突破などと予想したものである。一方、2018年大会は抽選結果を受け、「死の組」に入ったと戒めたものだ。

 今回はどんな反応だろうか。予選を突破し、さあ本大会ベスト8を目指して盛り上がっていこうと日本中が一致団結した瞬間、この結果だ。長打を狙いヘッドアップする野球の打者と化した自分に気づき、自嘲している人もいるにちがいない。ドイツ、スペイン恐れるに足りず、と威勢のいい言葉を吐く人は、そう多くいないはずだ。だが、絶望的だと悲しんでいる人も、思いのほか少ないはずだ。このかつて経験したことのない逆境と、いかに向き合うか。

 いったん落ち着いて、じっくり考える必要がある。ドイツ、スペインをまずリスペクトすることだろう。彼らがどれほど強国であるか再確認することだ。それに引き替え、日本はどれほど弱いか。日本のグループリーグ突破が、世界的には番狂わせにあたることを自覚すれば、立ち位置は決まる。チャレンジャー。求められる精神は無欲だ。負けることを恐れては何もできない。

 こう言っては何だが、筆者が森保一監督ならホッとしているかもしれない。この抽選結果は、「絶対に負けられない戦い」の呪縛から解放されたことを意味する。ドイツ、スペインに敗れてグループステージで敗退しても、罵詈雑言を浴びせかけられることはないだろう。目標に掲げたベスト8の旗をいま降ろしても、批判する人は少ないかもしれなお。結果、成績に対するプレッシャーは大きく軽減されたはずだ。

 その分だけ闘志を燃やしてほしい。アイデア、工夫を練って欲しい。敗戦へのプレッシャーが消えたならば、番狂わせの道を徹底的に探ってほしい。森保監督がその適任者ではないと協会が判断すれば、監督交代という手段に打って出るのも面白い。それで結果が出なくても、ファンから叩かれる可能性は低い。

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