サッカー日本代表の「表と裏」が見えた。ベトナム戦は意図がよくわからない全取っ替えだった (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 0-1で折り返した後半は、森保一監督曰く、「勝つためにカードを切った」が、それでも同点止まり。グループ最下位のベトナム相手に格の違いを見せつけることはできず、試合は1-1のまま、引き分けに終わった。

ベトナムに先制ゴールを許すなど、不甲斐ない戦いを見せた森保ジャパンベトナムに先制ゴールを許すなど、不甲斐ない戦いを見せた森保ジャパンこの記事に関連する写真を見る まさかの結果ではある。

 だが、身もふたもない言い方をすれば、こうした全取っ替えに近い大幅なメンバーの入れ替えは、試合内容という意味でも、新戦力のテストという意味でも、うまくいかないケースは珍しくない。

 急造チームで試合をしたところで、すぐに連係を確立できるはずもなく、結果として選手個々のよさも出てこないからだ。このベトナム戦にしても、チームとして機能しない→アピールしたい選手が空回りする→さらに機能しなくなる、という悪循環に陥っていた。

「今日の試合のなかでも、自分のよさを発揮する部分で積極的にプレーしてくれていたが、お互いのプレーのイメージを合わせることでは難しい状況が続いた」

 森保監督も、そう認めているとおりだ。

 そもそも意図のよくわからない、全取っ替えだった。

 経験のない選手に出場機会を与えるためなら、GK川島永嗣をはじめとするベテランの起用は解せないし(彼らの力は、よくも悪くもすでに計算が立っている)、これだけメンバーを大きく入れ替えるなら、4-3-3にこだわる必要もない(多くの日本人選手にとって、4-3-3は慣れ親しんだものではない)。

 従来の先発メンバー(とフォーメーション)をベースに、現実的な範囲で選手層を厚くしようとするのなら、最大でも半分程度の入れ替えにとどめるべきだった。

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