サッカー日本代表が必要以上に悪く見えてしまった理由。貴重なテストの場とならなかった
ベトナム代表にJ1リーグで通用する選手はどれほどいるだろうか。高い位置からプレスをガンガンかけてくる捨て身のサッカーで挑んできたわけでもない。1-1で引き分けた原因はもっぱら日本にあった。
2-0で勝利したオーストラリア戦のスタメンから、森保一監督は山根視来と吉田麻也を除く、9人を入れ替えてこのベトナム戦に臨んだ。予選を通して出場時間が少なかった選手たちをピッチに送り込んだわけだ。
W杯本大会出場を決めた日本だが、メンバーは決まっていない。11月の本番直前まで、試合数がどれほどあるか定かではないが、これからの注目は23人枠を巡る争いになる。この日スタメンを飾った選手の中で、確実に選ばれそうな選手は現状、主将の吉田ただひとり。ピッチには高い動機に満ち溢れた選手がずらりと並んだ。
ベトナムに引き分け、憮然とした表情の日本代表の選手たちこの記事に関連する写真を見る 実際、彼らがサボったために1-1で引き分けたわけではない。少なくとも前半20分に許した失点の原因は、相手のCKに対して吉田が目測を誤り、被ったことにあった。そこで先制ゴールを許していなければ、もう少し楽な展開になっていたのではないか。皮肉を感じる失点であったことは事実である。
しかし、それでもベトナム選手との間には大きな力量差がある。J2でプレーすることさえ難しそうなベトナム人選手にとって、欧州組がスタメン11人中8人を占める日本の顔ぶれは、羨望の的だったに違いない。
にもかかわらず、日本はピッチ上に格上感を描き出せなかった。チームとしてバラバラだったからだ。この11人で戦ったことは、これまで何試合あっただろうか。柴崎岳、原口元気、旗手怜央の3人で、4-3-3の中盤を形成したことはあっただろうか。ゼロだと断言できる。
この設定でテストだと迫られると、出場した選手が可哀想になる。不公平とはこのことだ。コンビネーションが修練されていないので、一人ひとりが必要以上に悪く見えてしまうからである。1-1で引き分けた最大の原因は、森保一監督のスタメンの変え方にあった。
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