ホームで痛恨のドロー、サポーターから罵声、カズも激昂。山口素弘が振り返るフランスW杯最終予選の舞台裏 (2ページ目)
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必勝を期待されながら、ホームで引き分けという不甲斐ない結果に終わり、サポーターの怒りは頂点に達した。試合後、多くのサポーターが国立競技場の出入り口を囲んで、選手たちのバスが動けなくなった。
選手たちに罵声を浴びせるサポーター。あちらこちらで怒号が飛び交い、卵や椅子など物を投げつけるサポーターまでいて、それに激昂したカズ(三浦知良)との間で一触即発といった場面も見られた。
ホームのUAE戦で引き分けたあと、ヤジを飛ばすサポーターに反応する三浦知良この記事に関連する写真を見る 終戦を匂わせる、暗く重たい夜だった。
「(ホームで)韓国に逆転負けしたあとよりも、直後の(アウェーの)カザフスタン戦に勝てなかった時よりも、この時が一番苦しかった。残り2試合で、UAEと勝ち点1差の3位。相手が勝ち続けたら終わりなので、この時点で自力でのプレーオフ進出が消えた。
ただ、可能性はゼロではなかったので、苦しくなったけど、『最後までやりきろう』と思っていた。『最後にフランスに行けばいいんだろ』っていう、開き直りもあった」
そして山口は、加茂監督が解任された時、選手たちと確認したことを思い出していた。
「あの夜、自分たちが話をしながら整理したのは、W杯への気持ち。そもそも選手みんな、自分がW杯に行きたいんだよ、ということ。W杯は自分の夢だし、みんなの夢でもある。
誰かのため、とかではなく、まずは自分の夢を叶えるためにみんな戦っている。それが、最終的にファンやサポーターが喜ぶことにつながる。そうした自分たちの強い思いを、あの時に確認した。
それで、UAE戦のあとにもう一度、(選手みんなで)その話をしたんですよ。まだ終わっていないって。それでも、もしW杯に行けなかったら、今やっているカタールW杯最終予選の、アウェーのサウジアラビア戦で負けたあとに(吉田)麻也が言っていたように、(自分たちも当時)頭を下げるしかないなって思っていた」
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