日本代表メンバーに見る森保一監督の選考基準。お墨つき重視と鎌田大地軽視 (3ページ目)
【なぜ鎌田大地を外したのか】
西尾隆也(セレッソ大阪)、松岡大起(清水エスパルス)、鈴木唯人(清水エスパルス)、荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)。なかでも選ばれるべきは、合宿に参加したこの20歳前後の若手たちになる。サッカー選手にとって20歳という年齢は、評価を確定させるにはやや早い。ここから失速する選手も少なくない。過大評価は避けるべきだが、それだけに監督の腕の見せどころになる。
選手として大成したとき「森保監督によって代表チームに抜擢された選手」と評されれば、それは時の代表監督のお目が高かったことを意味する。20歳の選手を抜擢することは、自らのカリスマ性を高めるチャンスでもある。
メンバー交代5人制で行なわれる大真面目な真剣勝負とはいえ、23人のなかに1人、2人、若手を入れたところで大きな支障にはならないはず。少なくとも勝ちゲームのラスト2、3分、事実上の時間稼ぎ交代要員枠として利用する価値は大いにある。
合宿最終日に行なわれた流通経済大学戦。個人的にはその後半に4-3-3のアンカーとして出場した松岡のプレーに好感を抱いた。周りが見えているというか、落ち着いているというか。低い位置で彼が小気味よくボールを捌くと、チーム全体が技巧的な雰囲気に包まれる気がした。これから始まる攻撃によい影響力をもたらしそうな筋のよい選手だ。4-3-3のアンカーといえば、Jリーグでは川崎フロンターレの橘田健人が一番に頭をよぎるが、松岡もいい勝負だ。川崎でもプレーできそうな選手と見た。
そんなことを考えている余裕が、森保監督にはないのか。
もう一点、現実的な心配を述べるなら、鎌田大地を外したことだ。森保監督の鎌田への評価が下がっていることは、最近の起用法を見れば明らかだった。しかし鎌田は、海外組の格でいえば南野に次いで2番目だ。鎌田が所属するフランクフルトは、セルティックをはじめ、日本人が所属する他のクラブが、ヨーロッパリーグのグループステージで姿を消すなか、唯一決勝トーナメントに進んだチームでもある。つまり現在、鎌田は代表選手のなかでは唯一のヨーロッパリーガーなのである。しかもバリバリのスタメンだ。出場時間も長い。活躍もしている。
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