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岡田ジャパン、支持率16%からの大逆転劇。カギは「自己否定」と本田圭佑の登場 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

【勢いが違った本田圭佑】

 本田圭佑を0トップに据えた4-3-3。キックオフの笛が鳴り、その正体が目に飛び込むと、震えそうになっていた。くり返すが、岡田監督の支持率は16%。その時、8割以上が不支持に回っていた。何を隠そう筆者もその1人。まさにコテコテの不支持派だった。

 ところが、ブルームフォンテーンのピッチに描かれたデザインは、こちらが望んでいたものと完全に一致していたのだ。言い方を変えれば、中村中心のチームから、本田中心のチームに一変していた。

 ブックメーカーからはオランダに次いでこの組の2番手に挙げられていた強敵カメルーンに対し、日本は1-0で勝利した。決勝ゴールを挙げたのは本田。彼を0トップに据えた岡田采配は、3戦目のデンマーク戦でもズバリ的中した。FKによる先制弾と、3点目のゴールを本田はマークしたのだった。

 日本はカメルーン、デンマークを抑えてベスト16入りを決めた。1998年フランス大会はグループリーグ3連敗。2006年ドイツW杯はグループリーグ1分け2敗。2002年日韓共催W杯はベスト16入りを果たしたが、これは例外だろう。開催国の恩恵以外の何ものでもなかった。文字通りの実力でベスト16入りしたのは、この2010年大会が初めてだった。

 その快挙を、日本を発つ前に支持率が16%しかない岡田ジャパンが達成した。これ以上エンタメ性に富む事件に、そう簡単に遭遇することはできない。もし壮行試合のあとに岡田監督が解任されていたら、この結果は出ただろうか。

 最大のキーポーントは岡田監督が、自らの過去を土壇場で否定したことにある。こうした芸当ができる監督は、世界広しといえど滅多にいない。

 もうひとつは本田だ。VVVフェンロからCSKAモスクワに移籍したのは2009-10シーズンの冬のマーケットで、チームはタイミングよくチャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメントに進出していた。その決勝トーナメント1回戦。セビージャのホーム、ラモン・サンチェス・ピスファンで行なわれたそのセカンドレグだった。

 通算スコア2-2で迎えたその後半10分。決勝ゴールを叩き込んだのは移籍してきたばかりの本田だった。その左足から放たれた直接FKはブレ球となり、GKを強襲しながら、セビージャゴールを揺るがした。

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