「日本の攻撃には怖さがない」「何もなかった」。新生なでしこの初戦、ベテラン2人が明かした危機感 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

 池田監督が狙いとしていた、斜めのボールで好機を作る"Xボール"を生かすには他の形も織り交ぜることが必須。どこで勝負の形を使うかも共通認識を高めていかなくてはならない。とはいえ、そればかりでは攻撃が単調になり、狙われる可能性も含んでいる。

 相手にとっては、狙いどころを定めてカウンターに絞れば勝機があるのだからやらない手はない。おそらく今後、日本に対しての戦い方はこの形か、最初から力でねじ伏せるかの2パターンになってきそうだ。これを覆すために池田監督はどんなピースを選択するのか。

 今回の招集メンバーには、池田監督が率いてFIFA U-20女子W杯制覇(2018年)した面々も名を連ねている。国内合宿ではやや同窓会的な雰囲気も漂ったが、現実はアンダーカテゴリーの実績が成績に影響されるほど簡単ではない。遠くない将来、このU-20優勝世代が中心になってなでしこジャパンを支える時代は必ずやってくる。

 ただ、それを待っているだけでは現状の打開はできないだろう。ただでさえ池田ジャパンは東京オリンピックが延期されたことで、通常よりも強化期間を1年削られているのだ。この最初のオランダ遠征を最後に、すぐさまディフェンディングチャンピオンとして女子アジアカップに臨む。

 今回は改めて個の力が絶対的に足りていないということが突きつけられた。熊谷は「日本の攻撃には怖さがないとアイスランドの選手に言われた」と明かした。

 また、岩渕は「今日のゲーム(オランダ戦)は勝つべきだった。何もなかったな、と」とその表情は冴えなかった。さらに「今の段階でこのチームで世界一を目指していますって言うのは早い」と現実の立ち位置を示した。経験豊富な2人が感じ取った危機感は決して小さくない。

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