森保ジャパンの問題点。格下ベトナムに辛勝、運よく勝ったオーストラリア戦の流れを生かせていない (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Minh Hoang/Getty Images

 だとすれば、準備時間がほとんどなかったなかで、長らくとり組んできたシステムや戦い方ではなく、オーストラリア戦からだけの流れを継続することが、はたしてよかったのかどうか。

 そもそもオーストラリア戦で日本が採用した4-3-3は、スペイン代表やマンチェスター・シティなどからイメージするような、ボール保持を前提としたものではなかった。

 インサイドMFを務めた田中碧が、「(オーストラリア戦は)3ボランチというイメージ。守備でしっかりと防波堤になる。本来のインサイドMFの役割ではなかった。ライン間に飛び出したり、ハーフスペースで受けたりとかは一切していない」と話しているとおりだ。

 元川崎フロンターレの田中や守田は、4-3-3に慣れている印象もあるが、「個人的な感覚では全然違う。フロンターレでやっている感覚はなかった」と田中。守田にしても、「まだまだ4-3-3のいい部分を生かし切れていない。相手(がどうこう)ではなく、自分たちがシステムのよさとデメリットを把握し切れていない」と語る。

 今の日本代表が採用しているのは、簡単に言えば、守備に重点を置いた4-3-3。それをそのままベトナム戦にも用いた結果、どうなったか。

 守田は「真ん中(中盤)の3枚はプレースタイルが似ているので補完しながら、いい働きができた」と成果を口にしながら、こうも続けている。

「逆に、ここぞというところでは推進力が必要。3人ともボールを奪われない持ち方やパスの入れ方をやっている。力づくでこじ開けにいくプレーだったりが必要だと思う」

 森保監督にしても、オーストラリア戦で流れが変わり始めているのを感じていただろう。そこに移動のトラブルが重なったことが、オーストラリア戦からの継続を決断するあと押しになったのかもしれない。

 だが、皮肉なことに、変わり始めた流れにうまく乗ろうとするあまり、逆に乗り損ねてしまった印象を受ける。

 結果的に、ベトナムに勝利した日本はグループ3位に浮上し、上位2カ国の背中が近づいたとはいえ、周囲の空気はどんよりとしたままだ。

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