2021.11.12

冨安健洋がベトナム戦「影のマン・オブ・ザ・マッチ」。組織機能なき森保ジャパンは個の力に頼る

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

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 0-1と勝利を収めたベトナム戦だが、あらためて森保ジャパンのちぐはぐさが目立つ一戦だった。敗れたオマーン戦よりも、実状はひどくなっているかもしれない。組織としての動きが確立していないことで、お互いの距離感が悪く、どうしてもパスに無理が出て、ボールを簡単に失う。守備では、ひとりが食いついても連動せず、裏が空いてしまう場面があった。

次のオマーン戦でも日本代表の守備のカギを握る冨安健洋次のオマーン戦でも日本代表の守備のカギを握る冨安健洋 この記事に関連する写真を見る  明らかな組織としてのひずみだ。

 ブンデスリーガで対人の強さが絶賛されてきたMF遠藤航は、チームの不具合の影響を受けているのか。東京五輪決勝トーナメントから本調子ではない。ベトナム戦でも自陣で無理にボールを持ち出そうとし、呆気なくひっかけられて失い、危ういミドルシュートを浴びる場面があった。組織機能が低下すると、個人が頑張りすぎ、精度が下がる。すばらしいプレーもあったが、むらっ気が出ていた。

 その一方、力の差を示した個人がいなかったわけではない。決勝点を決めた伊東純也は、そのひとりと言える。圧倒的なスピードは「戦術」に近かった。オフサイドで取り消されたゴールシーンなどは、もはや「ひとりカウンター」の域でゴールネットを揺らしていた。

 もうひとり、強く個人を感じさせた選手が、センターバックに入った冨安健洋(アーセナル、23歳)である。実直なプレーが多かったが、それが脆弱さを抱えたチームに硬質さを与えていた。「影のマン・オブ・ザ・マッチ」と言っても過言ではないだろう。

「一流のディフェンダーは、相手に応じたディフェンスだけでなく、自分のタイミングで仕掛け、凌駕できる」

 欧州ではそれが定説になっている。ベトナム戦の冨安は主体的なディフェンスを見せ、それは一流の証だった。

 決勝点のシーンも、何気に起点になっている。相手GKのロングキックに対し、ヘディングで相手FWにほとんどスタンディングで勝って、クリアではなく、前方の遠藤につなげていた。相手選手よりもレベルひとつではなく、二つ、三つは上だった。そのボールが大迫勇也につながれ、南野拓実に展開され、持ち運んだクロスを伊東がゴールに蹴り込んだ。