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冨安健洋がベトナム戦「影のマン・オブ・ザ・マッチ」。組織機能なき森保ジャパンは個の力に頼る

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

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 0-1と勝利を収めたベトナム戦だが、あらためて森保ジャパンのちぐはぐさが目立つ一戦だった。敗れたオマーン戦よりも、実状はひどくなっているかもしれない。組織としての動きが確立していないことで、お互いの距離感が悪く、どうしてもパスに無理が出て、ボールを簡単に失う。守備では、ひとりが食いついても連動せず、裏が空いてしまう場面があった。

次のオマーン戦でも日本代表の守備のカギを握る冨安健洋次のオマーン戦でも日本代表の守備のカギを握る冨安健洋この記事に関連する写真を見る 明らかな組織としてのひずみだ。

 ブンデスリーガで対人の強さが絶賛されてきたMF遠藤航は、チームの不具合の影響を受けているのか。東京五輪決勝トーナメントから本調子ではない。ベトナム戦でも自陣で無理にボールを持ち出そうとし、呆気なくひっかけられて失い、危ういミドルシュートを浴びる場面があった。組織機能が低下すると、個人が頑張りすぎ、精度が下がる。すばらしいプレーもあったが、むらっ気が出ていた。

 その一方、力の差を示した個人がいなかったわけではない。決勝点を決めた伊東純也は、そのひとりと言える。圧倒的なスピードは「戦術」に近かった。オフサイドで取り消されたゴールシーンなどは、もはや「ひとりカウンター」の域でゴールネットを揺らしていた。

 もうひとり、強く個人を感じさせた選手が、センターバックに入った冨安健洋(アーセナル、23歳)である。実直なプレーが多かったが、それが脆弱さを抱えたチームに硬質さを与えていた。「影のマン・オブ・ザ・マッチ」と言っても過言ではないだろう。

「一流のディフェンダーは、相手に応じたディフェンスだけでなく、自分のタイミングで仕掛け、凌駕できる」

 欧州ではそれが定説になっている。ベトナム戦の冨安は主体的なディフェンスを見せ、それは一流の証だった。

 決勝点のシーンも、何気に起点になっている。相手GKのロングキックに対し、ヘディングで相手FWにほとんどスタンディングで勝って、クリアではなく、前方の遠藤につなげていた。相手選手よりもレベルひとつではなく、二つ、三つは上だった。そのボールが大迫勇也につながれ、南野拓実に展開され、持ち運んだクロスを伊東がゴールに蹴り込んだ。

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