松木安太郎が解説でネガティブ発言を控える理由。そうしないと「競技のおもしろみをスポイルすることになる」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

---- 同じプレーでも見る人が変われば、解釈の仕方や伝え方も変わるのがサッカー解説の面白いところでもありますしね。

「サッカーというのは昔から11人対11人で、ボールの大きさもピッチの広さも変わらないのに、チーム構成の仕方や戦術の立て方は多種多様の手法がある。解説者も同じで十人十色が当たり前で、そこの個性を出していかないといけないんだと思いますよ」

---- 日本代表のサッカー中継では、松木さんとセルジオ越後さんの意見が真逆のケースもあって、個性のぶつかり合いが見どころにもなる時もありました。

「役割分担を話し合って決めたというのはないんですけどね(笑)。今となっては普通ですけど、振り返れば、ふたりで解説をやり始めた頃は斬新だったろうなと思いますね。だって、『俺はこう思う』と言えば、『いやいや、それは違う。これはこうだろう』って討論会のようになるんですから(笑)。

 ただ、解説者同士が予定調和で話をしても、見る人は楽しくないでしょ? 試合のなかで起きているひとつのシーンでさえも、さまざまな捉え方があると視聴者に伝わればいいなっていうのはありますね」

---- そのテレビ朝日での日本代表中継には内田篤人さんが加わりました。

「9月のW杯アジア最終予選オマーン戦で初めて一緒になったのですが、1年前まで現役選手だったのもあるし、サッカーの経験値も高いし、よくサッカーを知っているなという印象でした」

---- 内田さんのほかにも、中村憲剛さんや佐藤寿人さんなど、最近まで現役だった方が解説の仕事を始められています。テレビでのJリーグ中継がほぼない時代に、新たな解説者が増えていることは、サッカー界にとってどういう意義があるのでしょうか?

「ネット配信ができたことで、いろんな人たちがサッカー解説をする機会が得られるようになった。これはサッカーマンにとっては願ってもないことですよ」

---- 解説業30年のキャリアを誇る松木さんからのアドバイスはありますか?

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