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松木安太郎が解説でネガティブ発言を控える理由。そうしないと「競技のおもしろみをスポイルすることになる」 (4ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

---- 松木さんは常に視聴者を想定されているんですね。だから、これだけ長くサッカー解説者の第一線に立つことができるわけですね。

「観ている人は、僕らのコメントだけではエキサイトできないと思うんです。映像と言葉がリンクして初めて、解説者の存在意義があるわけで。ある意味でサッカー選手と同じだと思いますよ。今起きている状況に合わせて、臨機応変に言葉を変えていかなければいけないと思っています」

---- 「行け!」「そこだ!」と居酒屋ノリで熱くなっているだけではないってことですね(笑)。

「サッカーってやっぱりパッションがあって、熱くなれるところが魅力だと思うんですが、決してそんなに熱くなってしゃべっていないですよ(笑)。たた、試合にのめり込んで楽しんでいる人なら、みんなが『行け!』『危ない』と同じようなことは口から出ているんじゃないかな? それと一緒ですよ」

---- 日本代表は現在、W杯アジア最終予選でグループ2位以内の黄色信号が灯っています。10月12日のホームでのオーストラリア戦には、1998年W杯予選アジア第3代表決定戦でイランを破った"ジョホールバルの歓喜"の時のように、日本中が日本代表を応援する熱量が必要になると思います。そのためには、あのジョホールバルの一戦で解説を務められた松木さんの解説がとても重要になると思うのですが。

「日本代表は久保建英や堂安律がケガで欠いたりして難しい状態のなかで、サウジアラビアに負けた。それによって、いろんな問題を抱え込んでしまったと思うんですよね。しかも、次のオーストラリア戦はサウジアラビアから日本に戻ってきての戦いになるうえに、限られた時間のなかでのコンディショニングは難しい。

 ただ、絶対に負けられない試合だからね。しかも、ジョホールバルと違うのは、今回はオーストラリアに勝っても戦いは終わらないし、その先も負けられない厳しい試合が続いてくってこと。

 でも、日本代表の本来の力からすれば、悪い流れを断ち切ることができれば、残り試合を全勝できる力はあると思うんですよ。そのためには、やっぱり日本中の人が日本代表のワンプレー、ワンプレーを一生懸命に応援して、楽しんでもらいたいなと思いますね」

【profile】
松木安太郎(まつき・やすたろう)
1957年11月28日生まれ、東京都中央区出身。現役時代は主にサイドバックでプレー。読売クラブ(1973年〜1990年)ひと筋で、主将としてリーグ優勝や天皇杯優勝に貢献。日本代表では1984年から1987年にかけて12試合出場する。現役引退後、読売クラブのコーチを経て1993年に35歳の若さでヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)の監督に就任し、チームをリーグ2連覇に導いた。1998年にセレッソ大阪、2001年に東京ヴェルディを率いた一方、唯一無二のサッカー解説者として人気を博す。

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