オーバーエイジ活用の難しさ。「史上最強」であることがマイナスに作用したのか? (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 ヨーロッパでは予選と本番で出場資格に1歳のズレが生じるため、彼らは五輪本番ではOAでの参加となったが、元を正せばチームメイト。融合がたやすかったことは想像に難くない。

 当然、彼らが特別な存在だったはずもなく、実際、グループリーグ初戦にそろって先発出場したあと、第2戦ではそろって先発から外れている(セバージョスはケガもあった)。

 もちろん、だからといって、日本も年齢の近い選手をOAで入れるべきだった、などと言うつもりはないし、今回のOAが失敗だった、と言うつもりも毛頭ない。彼らによる戦力アップは明らかだったし、ピッチ外も含め、チームに好影響を与えたことは前述したとおりだ。

 しかし、本番直前の段階になって、24歳以下のチームに経験、実績で飛び抜けた選手を加えることの難しさは、少なからずあったのではないだろうか、と想像する。

 理想は、U-24代表(次回以降はまたU-23代表に戻るだろうが)に、A代表の主力をOAで加えても、それが際立たないくらいのチームにすることだろう。

 森保監督も大会後、こんなことを話している。

「メキシコもほとんどがA代表を経験していたし、スペインはユーロ2020を戦ったメンバーが半数近くいた。五輪でいい戦いをして最後に結果をつかみ取ろうと思ったら、五輪経由のA代表でなく、A代表経由の五輪。若い世代から早くA代表で経験を積んでもらえるように、選手を育てていかなければいけないと感じた」

 OAは魔法のカードではない。その力を最大限に活用し、戦力アップにつなげるためには、そもそもチームにそれを可能にする土壌がなくてはならないということだ。

 いかにOAを有効活用するか。

 前回のリオデジャネイロ五輪とは異なる形ではあったが、今回もまた、OAを加えることの難しさを改めて実感させられた大会だった。

(おわり)

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