スペインの名指導者の危惧が的中。U-24日本代表の敗因は「集中力の欠如」と「ファウルの差」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

「大会が始まってから、私は日本の自陣内でのファウルの多さを指摘してきた。日本は局面での守備がやや雑になっているようだった。危険なセットプレーを与える機会が増えていた」

 スペインのサッカーマスター、ミケル・エチャリはそう言って、東京五輪男子サッカー、3位決定戦で日本がメキシコに1-3と敗れた試合を振り返っている。

 エチャリはレアル・ソシエダなどでさまざまな職務を歴任してきた。メキシコにも指導者講習会に招かれたことがある。かつてはジョゼップ・グアルディオラにバルサの戦略分析担当として誘われた目利きだ。

「繰り返し警告していたのだが、3位決定戦で、それが最悪の結果につながってしまった。中二日の厳しい日程を同じようなメンバーで戦うことで、体力面、精神面での疲労があったのだろうか。スピード、テクニックと精度が落ちて、特に守備の部分で雑になってしまい、セットプレーの場面でもグループリーグの時のような集中力が感じられなかった」

 エチャリの過去の分析記事を見返してもわかるように、危惧していたことが的中した。メダルに届かなかったメキシコ戦を検証すると?

決勝トーナメントに入ってから自陣でのファウルが多くなっていた遠藤航決勝トーナメントに入ってから自陣でのファウルが多くなっていた遠藤航この記事に関連する写真を見る「日本は4-2-3-1という同じ布陣で、最も多く繰り返したメンバーを用いている。ディフェンスに関しては、コレクティブな戦いができており、4-3-3で挑んできたメキシコの勢いを受け止め、遠藤航がミドルを狙った。悪くはない立ち上がりだ。

 ところが、10分を過ぎたところだった。

 メキシコの左サイドからの攻撃に対し、遠藤が入れ替わられて、後ろから遅れたチャージでPKを献上してしまう。決勝トーナメントに入ってから、遠藤は自陣でのファウルが多くなっていた。プレーが雑になってボールを失うシーンも増えた。奪われても奪い返せばいいという論理で、どうにかことなきを得ていたが、指摘してきたように危険を孕んだプレーだった。

 その点では必然のPK献上だったと言える。エリア内か、接触があったか、かなり微妙なところだったが、VARのチェックでも覆らない。日本はPKを蹴り込まれ、早々に先制を許した。

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