久保建英「4位だと申し訳ないし、何も得るものがない」チームとして日本サッカー協会として検証が必要だ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 大会前半の勢いを思うと、急激な尻すぼみ感があったことは否めない。

 終わってみれば、2012年ロンドン五輪と同じ4位。金メダル獲得を明確に目標として掲げた今回は、準備にかけた手間暇の差を考えると、結果に対する評価はむしろ下がる。

 しかしながら、裏を返せば、金メダルにかける思いは、今回のほうが9年前よりもはるかに強かったはずである。

 ロンドン五輪に出場した選手たちには申し訳ないが、客観的に見ると、当時のベスト4進出は望外の結果。その一方で、今回のベスト4進出はあくまで通過点だった。準決勝敗退から立ち直ることは、相当に難しかったに違いない。

 消耗し切った心身にムチ打って、どうにか臨んだ3位決定戦でメキシコに1-3の完敗。しかも、グループリーグでは2-1と勝利していた相手にリベンジを許す形での敗戦は、とてつもなく大きなショックを選手に与えたことだろう。

 MF久保建英は試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた瞬間、ピッチに突っ伏し、号泣したまま起き上がることができなかった。

 見かねた周りの選手が、敵味方関係なく近寄って声をかけても、動くことはなかった。

 取材エリアに現れてもなお、久保は終始視線を下に落としたまま、口を開いた。

「スペインは格上だったが、正直、今日の相手は格上じゃない。それに1-3で負けたのはすごく悔しい。でも、負けた自分たちが何を言ったところで、初戦(グループリーグでの対戦)は(メキシコが)本気じゃなくて、本気のメキシコにやられたと、みんな思うだろうし。自分はそうじゃないと思うけど、負けた自分が何を言っても口だけなんで。負けは負けです」

 今大会に出場した日本選手の中で、久保は最年少の20歳。ピッチ上での存在感は群を抜いていたものの、試合を重ねるごとに疲労の蓄積は明らかだった。ワンプレーごとに腰に手を当てる。そんなシーンも増えていた。

 それでも、準々決勝以降のゴールが遠い試合のなかで、"何か起こりそうな雰囲気"が最も強く漂ったのは、背番号7がボールを持った時だった。

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