U-24日本代表がメダルを逃した3つの理由。そのほとんどは指揮官の采配に由来した (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

◆新シーズン「海外組」ブレイク候補。A代表未経験もすでに活躍している選手がいる

 いずれにしても、選考した守備的MFの選手の絶対数が少なすぎたことは確かである。

 それ以外にも、無いものねだりをしたくなったのは1トップだ。林大地と上田綺世の2人は弱すぎた。11あるポジションの中で一番の弱点だった。以前、オーバーエイジ枠に最適な3人について考察した原稿でも述べたが、3人のうち1人は1トップが務まる選手を選びたかった。

 大迫勇也は不可欠な選手だった。大迫、あるいはその代役が務まりそうな鎌田大地をメンバーに加えることができなかった時点で、得点力不足は見えていた。メダル獲得は苦しくなっていた。

 試合は後半13分、CKからベガが頭で3点目を決めると、勝負は事実上、決着した。

 三笘薫が中山雄太に代わって投入されたのはその4分後。その時、期待感を抱いたわけではなかった。今大会、三笘は活躍しているとは言えなかったからだ。そもそも出場時間が少なすぎた。体調がよくないのか、調子そのものが悪いのか、定かではない。だが、この3位決定戦では、ボールを持つたびに周囲を驚かせる決定的なプレーを披露した。

 後半33分、焼け石に水ではあったが、自らの個人技で1-3とするゴールを挙げている。ここにも日本がメダルを逃した理由を見た気がした。

 久保、堂安律が2枚看板とよく言われるが、それを聞くたびに、筆者は違和感に襲われた。三笘の能力は、この2人より下ではないと、強く反論したくなった。いい選手ではあるが、どこでどう使えば一番光るのかがわかりにくい久保、堂安より、三笘のほうが使いやすい。欧州での活躍も期待できる選手と見るが、その三笘が大会を通して本領を発揮できなかったことも、日本がメダルを逃した大きな理由だ。

 遠藤、田中をボロボロになるまで使ったこと。言い換えれば、チームとしての疲労感をうまくシェアできなかったこと。1トップに相応しい選手を招集できなかったこと。さらには、三笘を生かし切れなかったこと。そしてボール支配率が上がらなかったこと......。メダルを逃した理由のほとんどは、森保一監督の采配に由来する。

 サッカー協会はフル代表監督として続投する方針を下したとのことだが、だとすれば、森保監督には今大会の反省を活かしてほしい。短期集中トーナメントを勝ち抜く術をもっと学んでほしい。現状のままでは、2022年カタールW杯本大会で大きな活躍は望めないと思う。

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