U-24日本代表がメダルを逃した3つの理由。そのほとんどは指揮官の采配に由来した (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

「代えのきかない選手です」。テレビの解説者はその重要性を強調していたが、代えのきかない選手が、プレーの質を低下させた時、どうすればいいのか。短期集中トーナメントではよくある話だ。代えのきかない選手を作ってはいけない。これこそが短期集中トーナメントを戦うセオリーになる。

 遠藤、さらにはその傍らで構える田中碧は、ほぼ出ずっぱりだった。すっかり代えがきかない選手と化していた。田中は前戦のスペイン戦で、苦しげな表情を覗かせながらプレーしていたにもかかわらず、延長後半13分、橋岡大樹と交代するまでピッチに立たされていた。

 東京五輪では見かけなかったが、ユーロやCLでは走行距離のデータが表示される。チーム内で誰が多く走ったかをランキング化したものが紹介される。傾向はハッキリしている。上位にくるのはたいてい守備的MFだ。ピッチの真ん中に立っているので、当然といえば当然なのだが、この東京五輪でそれがランキング化されたなら、遠藤と田中は毎試合1、2番を占めるだろう。出ずっぱりの遠藤は、五輪の6試合のトータルでも断トツ一番ではないだろうか。

 日本は、4-2-3-1で1トップ下を務める久保建英が、MFというよりFW的な立ち位置でプレーしているので、その4-2-3-1は4-2-4にかなり近い。遠藤、田中は守備的MFというよりセンターハーフ。他より負担が大きいポジションであることは明白だ。代えのきく選手を用意しておかなければ、個人としてはもちろん、チームとしてバテてしまう。

 日本がメダルを逃した原因は何か。実はフランス戦以外、特段、褒めたくなる戦いができなかった理由について考えた時、一番に頭をよぎるのは、センターハーフ2人のオーバーワークになる。他の選択肢を用意できなかったベンチワークに問題があることはいうまでもない。

 メキシコ戦の後半35分。遠藤は途中交代でピッチを後にした。投入されたのは三好康児。それを機に布陣は4-3-3に変化した。こうした布陣の変更をまじえた戦術的交代を、なぜもっと早く行なわなかったのか。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る