U-24日本代表、狙った「あわよくば1点」を奪えず。だが、その確率は9年前より高かった (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 そして、あわよくばの1点がCKから決まったのは前半なかば。立ち上がりはスペインに主導権を握られたが、徐々にプレスがハマり、流れが変わり始めた時間帯で生まれた得点だった。

 決して日本にチャンスが多かったわけではない。だが、リズムを失ったスペインはその後、退場者を出すなど、次第に日本の術中にハマっていった結果である。

 対して、自分たちの時間をより長く作ろうと試みたのが、今回のスペイン戦だった。

 森保監督は試合前日、「大切なのは我慢強く粘り強く、相手がやりたいことを食い止めながら、攻撃につなげること」だとしながらも、こんなことを話している。

「ボールを握る時間を長くして、より高い確率で相手ゴールに迫って結果を出すことに、これまでもトライしてきた」

 スペインにボールを保持され、守備に回る時間が長くなることは覚悟のうえで、いかに自分たちの時間を少しでも長く作り出すか。そうしたアプローチを選択した。

 なぜなら、それが「あわよくば1点」の発生確率を少しでも高める方法だと考えたからだ。実際、スペインを完全に押し込む時間も少なからず作ることができていた。

「プランとして、奪ったボールを(クリアで逃げずに)前につけて、逆サイドからカウンターを狙っていた。それを、みんなが怖がらずにやれたのが一番よかった」

 キャプテンの吉田はそう語り、「そこでのクオリティを出さないといけないし、いい形が出ただけじゃなくて、そこで仕留めたかった」と悔しがりながらも、「狙いとしては悪くなかったなと思う」と振り返った。

「あわよくば1点」。日本とスペインの力関係を考えると、それが日本の戦い方にならざるを得ないことは、9年前も今も基本的には変わっていない。

 だが、勝ったロンドンと、敗れた東京。どちらが「あわよくば1点」の確率は高かったのか。

 最後は力尽きたが、悪くない負け方だった。

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