U-24日本代表、狙った「あわよくば1点」を奪えず。だが、その確率は9年前より高かった

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 身もふたもない言い方をすれば、実力どおりの妥当な敗戦。より勝つ確率が高いほうが勝った。そういう試合だ。

 東京五輪準決勝、日本はスペインに0-1で敗れた。90分をスコアレスで終え、延長を含めた120分を戦った末の結果である。

準決勝のスペイン戦。日本は強豪相手に奮闘したが、最後は力尽きた準決勝のスペイン戦。日本は強豪相手に奮闘したが、最後は力尽きたこの記事に関連する写真を見る 試合展開は予想されたものだった。

「我慢強い戦いで、ある程度守備の時間が長くなることは予想していた」

 森保一監督がそう語ったように、立ち上がりからスペインがボールを支配し、日本ゴールに迫った。日本は攻撃に転じる機会を見出せず、自陣に閉じ込められる展開はしばらく続いた。

 だが、日本は序盤の劣勢をやり過ごすと、20分を過ぎたあたりから、徐々に攻撃の形を作り始めた。30分以降は、逆に日本がボールを支配する時間が長くなり、その流れは後半立ち上がりも続いた。

 56分、DF吉田麻也のスライディングタックルがファールの判定を受け、一度はスペインに与えられたPKがVARによって取り消されたことも、日本ペースをうかがわせた。

 だが、試合が終わった今になって振り返ってみれば、この30分ほどの時間が、日本にとっては勝負だった。ここで1本決めなければいけなかった。

 その後の日本は、単発の攻撃こそ繰り出すものの、主導権を握る時間は作れずじまい。時間の経過とともに、打つ手を失っていった。

 対照的に、交代投入のMFカルロス・ソレール、FWマルコ・アセンシオらが、日本への圧力をじわじわと強めていくスペイン。こうなってしまうと、PK戦まで持ち込む以外に、日本の勝機はなかったのかもしれない。

 延長後半の115分、そのアセンシオに美しいゴールを決められ、勝負は決した。

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