スペインの名指導者が指摘したU-24日本代表の修正点。「バランスの良さを失っていた」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

◆日本の五輪2戦目メキシコは準備万端。最高のOAでロンドン五輪の再現を狙う

 前半15分には敵陣で何本もパスを回し、左サイドの中山雄太が折り返したボールを久保が受け、サイドネットの外側へ惜しいシュートを放った。また、前半終了間際にはパスをつないで攻め寄せ、田中碧がファウルで倒されてゴール前のFKを得るなど、南アフリカに混乱を与えていた。

 0-0で前半は終わったが、「日本が好機を外していた」というよりも、「南アフリカが最後の砦を守っていた」という印象のほうが近いだろう。守備の層はそれだけ分厚かった。日本はいくらか攻め急ぎもあって、その点、オフサイドで取り消されたゴールもあった」

 エチャリは、「攻める日本、守る南アフリカ」の構図をわかりやすく説明した。想像以上に、じりじりしたせめぎ合いだったと言えるだろう。

「後半の立ち上がり、日本は前線で裏を狙う林に長いボールを入れる機会が増えた。ただ、戦いの構図そのものは変わっていない。日本はボールを持って攻める時間が長く、敵の攻撃はことごとく寸断していたものの、粘り強い守りを崩し切れなかった。しかし、忍耐強く攻めていた。

 後半26分、左サイドの田中からのパスを右サイドで受けた久保が、すばらしいコントロールを見せる。中に切り込んで、利き足の左足でファーサイドのポストの内側にヒットさせる見事なゴールを決めている。久保は他にも、堂安とのワンツーから際どいシュートを放つなど、幾度もゴールに迫っており、必然の得点だった。

 ただ、リードした後の日本は『ボールを失い、カウンターを食らいたくない』という気配を濃厚に漂わせるようになった。流れとしては自然だろう。しかし、相手にペースを与えすぎた。後半30分を過ぎ、左サイドを破られて際どいシュートを打たれた後、日本は目に見えて形勢不利になった。勝ち逃げしたいという意識が強く出て、受け身に回ったのだ。

 日本はポジション的優位も失い、ビルドアップもできなくなった。ボールを持てないことでナーバスになってしまい、ファウルで止めるしかなく、いくつもFKを与えている。悪い連鎖だった。左サイドを右センターバックのテンド・ムクメラの攻め上がりで完全に突き破られるシーンもあって、選手交代、ポジション変更でどうにか逃げ切ったが......。

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