U-24スペイン戦を同国の名指導者が分析。日本の技術とスピードを評価「カウンターは脅威だった」
「今シーズンの欧州チャンピオンズリーグや、つい最近行なわれたユーロ2020、コパ・アメリカの試合を見ても、傾向は明らかだろう。ライン間のバランスを保って守り、攻めに転じ、スピードと技術を駆使したカウンターを放てるチームが上位に勝ち上がっている。その点、スペイン戦の日本は満足できる戦いをしたと言える」
スペインの慧眼、ミケル・エチャリはそう言って、U-24日本代表がスペインU-24スペイン代表と1-1で引き分けた試合を振り返っている。エチャリは、レアル・ソシエダ、エイバル、アラベスなど、同国のトップクラブで長年、強化部長や監督を歴任してきた人物だ。
「日本はスペインに対し、容易にゴールチャンスを与えていない。スペインはユーロで準決勝に進出した選手たちが数多く入ったチームで、簡単な試合ではなかった。バランスを失わず、カウンターで相手を脅かした戦いを高く評価すべきだろう」
東京五輪男子サッカー開幕に向け、エチャリがスペイン戦で見極めた日本の可能性とは――。
堂安律の先制点を、ミケル・エチャリは「日本らしいスーパーゴール」と評したこの記事に関連する写真を見る「日本は4-4-2、もしくは4-4-1-1の布陣でスタート。トップ、トップ下の久保建英のポジションによって、形を変化させた。
序盤は吉田麻也、冨安健洋が最終ラインをコントロールしながら、プレッシングもかけ続け、スペースを与えずに守る時間が続いている。ダニ・セバージョスにドリブルを持ち込まれ、シュートがわずかに枠を外れるシーンはあったし、左サイドは若干、マルコ・アセンシオなどに攻められて不安を抱えていた。しかし、決定的なピンチは限定的だった。
GK谷晃生は、FWラファ・ミルのシュートをブロック。際どいシュート性のクロスも確実なパンチングで弾いていた。U-24ガーナ代表戦、U-24ホンジュラス代表戦と比較して、とても安定感があった。
日本は久保が下がって、板倉滉、遠藤航のダブルボランチをサポートし、中盤の数的不利を解消した。相手の攻撃のリズムを分断することによって、徐々に流れを引き戻し、カウンターを放てるようになっていった。久保、堂安律、相馬勇紀、林大地が、お互いに近づきながら息の合った連係を見せる一方、右サイドバックの酒井宏樹が果敢に攻め上がり、スペインにダメージを与え始めた。
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