2021.07.19

スペインの予想以上だった日本の守備の成熟。敵将の評価が高かった選手は?

  • 小宮良之●文 text by Komoiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「ぺドリが試合の流れを変えた!」

 日本戦について、それがスペインの各メディアの論調である。

 18歳のMFペドリは、後半途中に出場すると、日本を手玉に取った。ゴールにはならなかったが、するすると攻め上がり、5、6人を引きつけ、右サイドでフリーになった選手に出したパスは圧巻。同点ゴールを生んだ、左サイドをタイミングと角度で崩すパスも神がかっていた。

 日本の戦い方や選手の出来について、そこまで興味はない。スペイン陣営としては、あくまで調整のための試合だった。長旅、時差、異国での適応(高温多湿の環境など)と、来日して3日しか経っておらず、コンディションは底に近かった。なかでもユーロ2020に出場していた6人の選手は準決勝まで戦い、ほとんど休養せずに五輪代表に合流しているのだ。

「コンディションが上がってきたら、あれは入っているかもしれない」

 吉田麻也は試合後、レアル・マドリードのマルコ・アセンシオが左足で巻くようなシュートを放ったシーンをそう振り返っていた。シュートポジションに入った時の踏み込みが甘く、腰が落ち着かず、本調子ではないのは明らかだった。

 では、スペイン的視点で日本の戦いはどう映ったのか?

U-24スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督から称賛された冨安健洋U-24スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督から称賛された冨安健洋 この記事に関連する写真を見る 「(日本の中で)最も存在感を放っていました」

 日本戦をスペインで生中継していた放送局「TVE」は、久保建英が交代でピッチから下がる時、そのプレーを称賛していた。スペインでプレーする久保は、日本人のなかで最もよく知られた選手と言える。

 この日も、"スペインっぽい"したたかなプレーだった。最初は後手を踏んでいたが、アンカーのマルティン・スビメンディをフタすることで相手の攻撃を分断。これで日本のダブルボランチが相手のインサイドハーフを見られるようになり、中盤の数的不利を解消した。

 これによって攻撃にも転じて積極的に敵陣奥深くでボールを受け、反撃の機会を窺った。先制点の場面では、スビメンディにマークを受けながらスローインのボールをコントロールし、ごりごりと手を使って相手を引き倒して抜け出ると、右サイドから中央に入った堂安律の左足に合わせ、シュートが決まった。