スペインの名指導者から日本の五輪代表へ。スペイン戦は「本番を想定した交代策を」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 最前線の林大地も、好印象を受けた。センターバックの間で駆け引きしつつ、ボールを呼び込むことができていたし、ラインの駆け引きも制していた。残念ながら、高さがないし、まだコンビネーションが合わない場面もあったが、カウンターでのフィニッシュが決まってくるようだと、有力なオプションになりそうだ。

 この試合のベストプレーヤーの名前を挙げるなら、遠藤航になるだろう。遠藤は、久保建英との積極的なポジション交換で攻めを躍動させる一方、田中碧と協調関係を作って、カバーリングとインターセプトを成功させていた。相手アタッカーに対し、非常に厳しくフェアに当たることで、守りを強固にし、それで攻撃を旋回させ、欠かせない存在と言える。

 チームとしても、満点に近い前半だった」

 エチャリはそう言って、前半の日本を激賞した。国内で巻き起こった議論のように、3点目を奪って試合をクローズできなかったことについては、ことさら責めていない。ただし、後半に入って戦いのチグハグさを修正しきれなかった点を反省点に挙げた。

「後半、ホンジュラスは一気に5人も選手を変えてきた。東京五輪に向けて、危機感を抱いたのだろう。動きが鋭く、粘り強くなっていた。

 その一方で、日本はやや過信気味なプレーが目立つようになった。雑になったわけではないが、前半の優勢な展開で油断したか。時間を重ねるたび、プレーのズレが大きくなっていった。相手が押し込んできたのもあり、前半のようにボールをつなげない。遠藤でさえも、持ちすぎてボールを奪われてしまったり、判断が悪くなっていた。

 65分にホンジュラスに1点を返されたのは、必然だったかもしれない。

 自陣でパスを繋げようとしたところを奪われ、ディフェンラインの裏を通された。GK谷は一瞬、出るのが遅れ、いったんははじいたものの、こぼれたボールが冨安に当たって入ってしまった。いくつか小さなミスが重なったわけだが、流れとして再三、ゴール前まで攻め込まれていたのが失点の要因だ」

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