日本人で最強のヘディングの名手は誰か。秋田豊が理由も解説、トップ10を決めた (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by AFLO

首の力を使ったヘディング技術が抜群だったという闘莉王首の力を使ったヘディング技術が抜群だったという闘莉王この記事に関連する写真を見る1位 田中マルクス闘莉王(元浦和レッズほか)

 闘莉王は、ヘディングの技術力が非常に高い選手でした。首の振りだけでシュートを決める強さもそうですけど、コントロールショットも非常に高いレベル。高さが際立っているわけではないんですが、FWもやっていたくらいなので、シュートのうまさが突出していました。

 僕は全身を使ってヘディングをするタイプですが、闘莉王には首の強さがあって、それを上手に使いこなし、首の振りだけでヘディングをとてもうまくコントロールするんです。その技術はブラジル特有のものだと思います。攻撃面においてはもちろんですが、当然守備においてもそのヘディングのうまさは発揮されていました。

 水戸ホーリーホック時代からそれは際立っていて、得点もよく決めていましたね。Jリーグの歴史のなかでも、これだけ攻守にヘディングの技術が高い選手はそういないというところで1位に選びました。

 フランスW杯の時の僕や小村さんも、非常にヘディングにこだわりを持っていました。闘莉王と中澤は、ヘディングの強さが際立っていた日本代表のCBコンビでした。しかし、それ以降はこうしたユニットは出てきていないと思います。今では吉田麻也がいますが、彼はある程度高さもありながらトータル能力が高く、CBとしてはフィード面に特化している選手だと思います。

 ヘディングには高さとうまさの観点があって、さらにこだわりを持ってやっているかも大事な要素です。得点力の面では、闘莉王や中澤がいちばん持っていたと思いますし、高さとうまさを兼ね備えたいいコンビでしたね。

番外編 マグロン(元ヴェルディ川崎ほか)

 ヴェルディとの対戦で大差で負けたことがあって、その時に高さで圧倒的な無力感を感じました。

 マグロンは192cmとサイズがあって、なおかつ非常に打点も高かった。彼のようにサイズのある選手は、ジャンプ力があまりないものなんです。だからそういった選手に対しては、こちらは最高打点で勝負をすれば逆に勝ちやすいところがありました。

 ただ、彼に関してはジャンプ力もあって、最高打点も本当に高かった。さらにヘディングのコントロールもうまいので、これまで対戦してきた選手のなかでいちばん「やられたな」という印象が残っている選手です。

秋田豊
あきた・ゆたか/1970年8月6日生まれ。愛知県名古屋市出身。愛知学院大から93年に鹿島アントラーズに入団。センターバックで活躍し、チームの多くのタイトル獲得に貢献した。04年から名古屋グランパス、07年からは京都サンガF.C.で1シーズンプレーし、引退。J1通算391試合出場23得点。日本代表では98年フランスW杯、02年日韓W杯のメンバー。Aマッチ通算44試合出場4得点。引退後は指導者として、京都、FC町田ゼルビアの監督を歴任。20年からいわてグルージャ盛岡の監督を務めている。

◆【写真】元日本代表が選んだ、ポジション別歴代日本人選手ランキング

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