2021.07.08

南米の強豪と「同じ目線で戦っていた」。森保ジャパンが見せていた日本サッカーの進化

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

日本代表が強豪国と戦う時(9)~ウルグアイ
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「ガーラ・チャルーア」(チャルーアの爪)

 それが、ウルグアイサッカーの代名詞である。支配者の侵略に最後まで抗ったチャルーア族の不屈の精神を表す。ウルグアイ代表のアイデンティティーで、どこまでも戦い抜く魂の咆哮だ。

「ウルグアイ人は神も悪魔も恐れない」

 ピッチに立ったウルグアイ選手は、向かってくる相手には牙をむく。その点、世界的なストライカーであるルイス・スアレスは象徴的存在だろう。勝負のためには是非もなし。モラルよりも本能で動いて、噛みつくことだってある。

「俺は1年に何足も靴を買ってもらえる家の子ではなかった。早い話、低所得層の生まれだよ」

 スアレスは淡々と言う。荒々しい闘争心は、貧困とも結びついている。

「子供の頃、スニーカーを店で選んだ覚えはない。あるものを履いていた。でも、母さんには毎日、感謝していた。いつも必ずできるだけのことをやってくれていた。人間は、望めば何でも手に入るわけではない。時間だけはいくらでもあったから、とにかく友達とボールを蹴っていた。土のでこぼこのグラウンドや街角で。サッカーでは誰にも負けなかった。どんな靴を履いていたってな」

 そのような精神を集結させ、人口340万人のウルグアイは世界王者に二度も輝いているのだろう。

 日本サッカーは、ウルグアイとの戦いで何を得られるのか?

ウルグアイ戦で先制ゴールを決め、勝利に貢献した日本代表の南野拓実ウルグアイ戦で先制ゴールを決め、勝利に貢献した日本代表の南野拓実 この記事に関連する写真を見る  2018年10月、埼玉。ロシアワールドカップでベスト16に進んだ熱狂の後、日本は森保一監督の新体制となって、強豪ウルグアイを迎えている。世代交代で新しいメンバーが多かったために、大敗を予想する声もあった。

 森保ジャパンは軽快にボールをつなぎ、主導権を握った。10分には左サイドの中島翔哉が斜めのボールを入れると、南野拓実がディフェンスを背負いながら反転し、右足を振り抜いて先制に成功している。攻撃に入った時の迫力は満点だった。

 28分には空中戦で競り負けて折り返され、それを放り込まれて同点に追いつかれた。セットプレーの弱さは攻撃面も含め、改善の余地があるだろう。単純な高さの欠如は永遠の課題だ。