日本代表が見せた守備練習のような一戦。「スペインの強さ」を誤解していた

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

 では、日本はどうやったらスペインと同じ土俵に立てたのか?

 フィールドプレーヤーでは唯一、スペインの選手と対等に渡り合っていた中田英寿はその答えと言えるかもしれない。

 中田はどんな状況でも動じなかった。相手は激しく寄せてくる、もしくはチャレンジ&カバーの関係を作りながら囲んできて、自由を与えてくれない。そこで彼は「止める、蹴る」の技術の高さを見せていた。

 スペインサッカーは当時、「スペクタクル」が代名詞だった。いわゆるショー的なテクニックがクローズアップされ、「日本人にも合う」と言われていた。体格的に似ていたこともあるだろう。しかし、スペインのトッププレーヤーたちは高いプレー強度の中での技術に真髄があった。折れない、剛直なうまさだ。

「プレッシャーがないところで、どれほどうまくても意味がない」

 当時、スペインのスカウトたちは日本人選手を評し、そう指摘していた。そして、その差はなかなか埋まらなかった。

「半年間、スペインでプレーして、あらためて自分の力不足を痛感しました。バルサのメッシはほんま、化け物ですけど、日本では知られていない選手でも、技術も体力も気が抜けないほどレベルは高い」

 2011年夏、マジョルカでスペイン挑戦2シーズン目となった家長昭博(現川崎フロンターレ)は、そう白状している。日本のサッカー界で「天才」と言われてきた男の告白は説得力があった。

「〝強さや技術、パフォーマンスを保たなあかんな"と思いました。1試合だけじゃない。1年間、そういう試合をやり続ける肉体的、精神的タフさは自分にはまだ足りてへんなと。シーズンオフには、プロになって初めて専属のトレーナーについてもらい、縄跳び、体幹、サイドステップなど、サーキットメニューを中心に、みっちり合宿を張りました」

 家長ほどの選手が、そこまで準備したにもかかわらず、定位置を奪うことはできなかったのである。

「ボールのスピード、ゲームのスピード、人の強さ。リーガは何から何まで違いました。根本的にどんな状況でもパスをつなげるし、無駄なクリアがない、だから守備をしているとしんどいですよ。ちゃんと追わな、ボールを取れへんから。Jリーグだったら、寄せるだけで取れることもあるんですけどね。

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