日本代表にスペインの名伯楽が提言。「プレーリズムに改善の余地あり」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

「まずは、両チームの実力に大きな隔たりがあったことをふまえるべきだろう」

 リーガ・エスパニョーラのレアル・ソシエダ、エイバル、アラベスなど、バスク地方のクラブで強化部長や育成部長、監督を歴任してきた"名伯楽"ミケル・エチャリは、日本代表が5-1で勝利したキルギス戦について、そう前置きをした。

「しかし、日本はメンバーを変えながらも、4-2-3-1のシステムをしっかり運用していた。各ラインと選手同士の距離感は整然と保たれ、バランスは秀逸だった。ただ、指摘すべき点が見えたのも事実だ」

 そう語るエチャリは、キルギス戦をどう分析したのか?

キルギス戦にフル出場、勝利に貢献した坂元達裕キルギス戦にフル出場、勝利に貢献した坂元達裕「日本は、すっかり4-2-3-1のシステムを使いこなしている。キルギス戦も60%以上のボール支配率を誇り、12本のコーナーキック(キルギスは0本)で相手を押し込み、主導権を握った。原口元気がアンカーのファルハト・ムサベコフに消され、センターバック2人がトップのミルラン・ムルザエフに手を焼く場面もあったが、優勢に戦い続けている。

 しかし、プレーリズムに関しては改善の余地があるだろう。

 バックラインから中盤、前線までボールの動きがスローだった。わずかなのだが、ボールをつける動きや運びの判断が遅く、それによって攻撃を難しくしていた。相手のプレスがほとんどない状況だったにもかかわらず、ペースが上がらない。むしろ、相手に守るリズムを与えてしまっていた。

 おそらくコンセプトとしては、敵を中に絞らせて、外を空け、坂元達裕、浅野拓磨の両サイドをウイング的に生かしたかったのだろう。しかしボールの回りが遅いため、サイドも"守備の鍵"が外れていない。その結果、しばらくノッキングしていた。

 前半26分、ようやく中に人を集め、右サイドを山根視来が駆け上がる。折り返したクロスを、オナイウ阿道がヘディングシュートしたところで、相手ディフェンスのハンドの判定。そのPKをオナイウ自身が決めた。

 そこからは日本が先手を取った。31分に坂元とのワンツーで抜け出した川辺駿がボールをファーポストに流し込み、再びオナイウが決めた。33分には左サイドの小川諒也が左足でクロスを入れ、これをオナイウが叩き込んだ。

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