川口能活と楢﨑正剛は「GKとしてどちらが上か」。2人を間近で見た元日本代表GKが徹底比較 (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

 一緒にやるなかで面白かったのが、プレースタイルからすると川口選手は大胆な性格で、細かい性格が楢﨑選手かなと思うんですけど、実際は真逆なんですね。川口選手は神経質なまでに慎重で、楢﨑選手のほうがおおらかな性格の持ち主でした。

 フランスW杯は日本にとって初めてのW杯で、大きなプレッシャーのなか、川口選手は正GKを務めました。私より10歳ほど年下ですが、とても頼もしかったですね。本人はどうだったかわかりませんが、私にはあの大舞台を楽しんでいるように映りました。

 川口選手が日本代表の正GKとなってから、常にこの2人が日本のゴールマウスを守って、切磋琢磨してきました。W杯の出場を勝ち取り、世界でどう勝つかというところで、GKの重要性はすごくフォーカスされてきました。そこで彼らが長い間代表に君臨したことで、より高いレベルのものが次の世代に求められるようになりました。

 彼らを超えなければ試合に出られない状況から、川島永嗣(ストラスブール)が台頭し、次に君臨することになりました。こうして、偉大な存在を超えなければいけないというGKの系譜の土台を、川口・楢﨑がつくり上げたのだと思います。その意味でも2人の日本サッカーへの貢献は大きなものでした。

 これからは、2人がそのキャリアのなかで見てきた「世界で通用するGK」を育てて、形となって現れてくるのを期待したいですね。それがどんなものなのか私にはなかなか想像がつきません。現状では世界トップクラスのGKにアジア圏の選手の名前が出てこないので、その壁を破る選手が彼らによって育ってくることを願います。

川口能活
かわぐち・よしかつ/1975年8月15日生まれ。静岡県出身。清水商業高(現・清水桜が丘高)-横浜マリノス(横浜F・マリノス)-ポーツマス(イングランド)-ノアシェラン-ジュビロ磐田-FC岐阜-SC相模原とプレーし、18年に現役を引退。J1通算421試合出場(Jリーグ通算507試合出場)。日本代表では96年アトランタ五輪を戦った五輪代表のGKとして活躍。その後A代表のGKも務め、国際Aマッチ116試合出場。W杯は98年フランス、02年日韓、06年ドイツ、10年南アフリカ大会のメンバー。現在はU-24日本代表GKコーチを務める。

楢﨑正剛
ならざき・せいごう/1976年4月15日生まれ。奈良県出身。奈良育英高-横浜フリューゲルス-名古屋グランパスとプレーし、18年シーズンを最後に現役を引退。J1通算で現在2位の631試合出場。日本代表はW杯で98年フランス、02年日韓、06年ドイツ、10年南アフリカ大会のメンバー。00年シドニー五輪時は五輪代表の正GKを務めた。国際Aマッチ77試合出場。現在は名古屋のアカデミーGKコーチとして活動しながら、JFAのトレセンコーチも務めている。

小島伸幸
こじま・のぶゆき/1966年1月17日生まれ。群馬県出身。新島学園高-同志社大を経て88年にJSLのフジタ(後のベルマーレ平塚、現湘南ベルマーレ)入り。チームがJリーグに昇格した1年目から正GKとして活躍。日本代表は国際Aマッチ4試合出場。98年フランスW杯のメンバー。99年からアビスパ福岡、02年からはザスパ草津でプレーし、05年シーズンを最後に現役を引退。現在はザスパクサツ群馬のGKコーチを務める。

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