鮫島彩がリスクを負って移籍するワケ「新規参入チームにしかできないことがある」 (3ページ目)

  • 取材・文・撮影●早草紀子 text&photo by Hayakusa Noriko

 率先してベテラン勢を叱り飛ばしていく大野コーチの姿が目に浮かぶ。それを見て若手がどう動くかが大宮Vのカギになりそうだ。ベテランに注ぐ"憧れの眼差し"を"仲間としての信頼"にどれだけ早く置き換えられるか。顔ぶれを見ても、さほど時間はかからないだろう。

「新規チームに来たっていうことは、選手たちも何かしらの期待やこうしたいという意思を持っていると思うんです。それを同じ方向に向けられたらいいなって。自分が下だったときもそうだったように上の人の振る舞いや、考え方に影響を受ける。チームってどれだけ選手が変わってもフロントが変わっても、なんとなくカラーってあるじゃないですか。大宮Vがどんなカラーになっていくのかは、私たち選手次第なんです」

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 取材時点でチームは始動していなかったが、すでに鮫島に頼もしさを感じた。「自分はプレーで引っ張れるタイプではないからカラーがない」と彼女は言うが、鮫島の想いが浸透すれば大宮Vは"サメ"カラーになる可能性がある。そしてそれは選手全員の意思となっていくのだろう。

「ファン・サポーターになってくれるかもしれない方々に伝えたいのは、もうこれだけ。『一緒に作り上げて行きましょう!』。ファン・サポーターの方々もそのカラーをイチから作っていけるタイミングでもある。応援してもらうんじゃなくて、一緒に成長していきたいと思っています!」

 鮫島の熱に当てられっぱなしの取材時間だった。昨日今日の想いではないことが伝わってきた。

 佐々木総監督の言葉を借りれば、大宮Vは「産声を上げたばかりのチーム」だが、すでに鮫島の熱意に賛同する選手が続々と現れている。選手の意識改革という点ではゼロどころか、トップ集団に属しているのではないだろうか。厳しいコロナ禍ではあるが、既存にはない新しいプロチームが走り出した。

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