鮫島彩がリスクを負って移籍するワケ「新規参入チームにしかできないことがある」 (2ページ目)

  • 取材・文・撮影●早草紀子 text&photo by Hayakusa Noriko

 これほど前のめりな鮫島を見たことがない。本気度が伺えるアイデアはまだ続く。

「VENTUSのオリジナルのファンクラブを作るのも面白いかなと考えています。初年度に会員になってくれた人には初年度にしかない会員番号とか、グッズとか......オリジナル感を出したい! 与えられたことをこなすのではなくて、選手自身が考えて参加して一緒に成長していきたいんです」

 そして、移籍を決めたもう一つの大きな要因が、待ち望んでいたチャンスが来たことだ。それは旧友たちともう一度プレーすること。鮫島のところへオファーが来た段階で、すでに2011年のFIFA女子ワールドカップで世界一になった際のチームメイトである阪口夢穂と、その翌年のロンドンオリンピックや2015年のFIFA女子ワールドカップカナダ大会(準優勝)でともに戦った有吉佐織らにも声がかかっていることを知った。ともに同学年でU-19女子代表でも一緒にプレーしている仲だ。

「2人と一緒にやりたいってずっと思っていました。2人がどういう答えを出すかわからなかったけど、もし集まってきたときに自分がそこにいなかったら絶対に後悔すると思った。そして、決めたら思いがけずマリーゼで一緒にやっていた(上辻)佑実ともできることになったんです! 

 新規のチームで大変なこともあるかもしれないけれど、修羅場を乗り越えてきた仲間だし、このメンバーとだったらどんなことでも笑って乗り越えられる自信があります」

 さらに加えると、コーチにはW杯優勝メンバーの大野忍が招聘されている。

「シノ(大野)さんは自分とは見えている景色が違うから、その視点での指摘をもらえるのは楽しみ。説明がすごくわかりやすいんです。でも、『このヘタクソ!』とか言われそう(笑)。だけど、この年齢で怒ってもらえるのはありがたいです。厳しいことをドンドン言ってほしいですね。......ホント怒られるんだろうなぁ」

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