「みんな圭佑にボールを集めていた」豊田陽平が代表に定着できなかった理由 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 しかし、それはブラジルワールドカップの二の舞だった。

「(代表に定着できなかったのは)実力だったな、とは思いますよ」

 豊田は静かに言う。

「ただ、ブラジルワールドカップの時も、僕を選んでくれたら......たとえピッチに立てなくても、対ドログバ(初戦コートジボワールのエース)の練習台だってやっていました。スタッフが要求した通りの動きを。それが日本のためになると思っていましたから」

 彼のような選手を取り込むことができたら、と思うのは幻想か。

 スペインは欧州、世界王者になったが、その実像はティキタカに酔ったものではない。闘将カルレス・プジョルが立ちはだかり、守護神のイケル・カシージャスがスーパーセーブを見せた。ロマ族で「詩人」とも言われた変わり者FWダニエル・グイサや高さを誇ったフェルナンド・ジョレンテのオプションもあった。アドゥリスはいなかったが、全員一丸で泥臭く戦って手にした栄光だったのだ。

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