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久保建英が低調だった理由。森保監督と
エメリからの評価は似ているはずだ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 日本サッカー協会●写真 photo by ©JFA

 しかし、それもわずかに2、3回。後半に入ると、周囲との連係を意識し、互いの距離を縮めようとしたのか、中央寄りにポジションを取る時間が長くなったが、むしろ空いた左サイド(コートジボワールから見て右サイド)を相手に使われることが多くなり、さして効果的ではなかった。

 では、この試合で久保が得点する可能性は、開始直後のシュート以外になかったのか。

 その可能性が最も高かったのは、後半13分に鎌田がドリブル突破でGKと1対1になる、その直前のシーンだろう。

 右サイドの伊東から横パスを受けた鎌田は、相手を見ながらゆっくりとしたドリブルで前進。このとき久保は、鎌田の左後方から横に並ぶようにして、ゴール正面の位置に入ってきた。久保の身振りから察するに、パスをくれと要求もしていたはずだ。

 久保の前にはスペースがあり、相手DFとの距離もあった。もしここでパスが来ていれば、ゴールの成否はともかく、少なくとも比較的余裕がある状況でシュートを打つことはできただろう。

 しかし、パスは来なかった。

 もちろん、鎌田は責められない。間違いなく自分で勝負していい状況だったし、実際、流れのなかではこの試合最大と言っていい、決定機を作っている。

 とはいえ、久保にとっては、何となく周囲とのコンビネーションがかみ合わない感覚のまま、出場時間を終えることになったのは確かだろう。このプレーから程なく、南野との交代を告げられたのは皮肉だった。

 今回のオランダ遠征の第1戦、カメルーン戦がそうだったように、試合終盤、途中交代で出場するときの久保は、ピッチ上に自らの足跡をしっかりと残してきた。だからこそ見る者に、短い時間でこれだけできるのだから、先発で使ってほしい、と思わせる。

 だが、出場時間が30分から60分に増えたからといって、作り出す見せ場も倍に増えるかというと、話はそれほど単純ではない。

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