「グラスゴーの奇跡」も起きた。永井謙佑が語るロンドン五輪の真実 (3ページ目)
「自分たちに出し惜しみしている余裕はないし、最初から100%でいかないとスペインには勝てないと思っていました」
ロンドン五輪初戦で日本はスペインに勝利。チームは勢いに乗った photo by AFLO スペインは、A代表が南アフリカW杯で優勝していた。U-23代表もA代表の流れを組むパスサッカーで、イスコやジョルディ・アルバら個人の質も非常に高い、優勝候補だった。
しかし、日本はスペイン戦を絶対に落とすわけにはいかなかった。
「初戦を落とすとグループリーグ突破が厳しくなる。だから、スペイン戦が非常に大事なのはわかっていました。試合は、みんなモチベーションが高く、フレッシュでほぼ互角に戦えた。大津(祐樹)選手が先制点を決めましたが、それが大きかったですね」
前半34分に大津が先制点を取ったことで日本は勢いを増し、守備もハマっていた。前半41分には永井にボールを奪われたDFイニゴ・マルティネスが、そのまま永井を倒してレッドカードで退場した。
「相手がアバウトなトラップをして、ミスをしたところを狙いました。うまく寄せて取れたのでよかった。ただ、スペインが10人になって(試合は)こっちの流れかなと思ったら、そんなに甘くはなかったです。逆に相手が割り切って攻めてきたので、本当にヤバかった。11対11だったら、どうなっていたかわからない。
それでも、日本は守りではなく攻めて、もう1点を取りにいくプレーをしたのが、逆によかったと思います。おそらく、引いたままだと、相手の思うツボになっていました」
日本は、スペインに1-0で勝利し、勝ち点3を獲得した。それは「グラスゴーの奇跡」と名付けられ、世界に大きく報道された。
つづくモロッコ戦は、終盤に永井が決勝ゴールを挙げて勝利し、日本は早々に決勝トーナメント進出を決めた。
この時、得点パターンがひとつ確立されたのだが、それが清武弘嗣と永井のホットラインだった。モロッコ戦では清武が前線を見ずに相手 の背後にボールを出し、快速を飛ばした永井が前に出てきたGKの鼻先でボールを蹴り上げて、頭越しにシュートを決めた。
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