食野亮太郎はミスを恐れない。「やっぱりシュートは打ってみるもの」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 前半にはその言葉どおりのシュートを放ったものの、相手に阻まれた。けれど後半には先制を許したあとに、ほとんど同じ形から右足を振り抜くと、今度は相手に当たってコースが変わり、ボールはネットを揺らした。

「角度はなかったけど、とりあえず打ってみようと思ったら入った。やっぱりシュートは打ってみるもんやな、とあらためて感じました」

 2020年の記念すべき代表初ゴールは、激戦区のポジションを勝ち抜いていくうえで、指揮官へのアピールになったはずだ。この日、2シャドーの位置に入った食野と旗手のほかに、久保建英、堂安律、三好康児、安部裕葵ら、世代随一のテクニシャン達がしのぎを削る。ゴール後に感情を爆発させたのは、一時的にとはいえ、そうしたプレッシャーを跳ね除けたからではなかったか。

「うーん、でも勝利につながるゴールを決めないと意味がないんで。そこは評価とはあまり関係ないかな」と挑戦的な視線を維持したまま食野は続ける。88分には、守備陣のミスからサウジアラビアにPKを献上し、それを決められて日本は1-2と敗れた。食野自身がそのプレーに関与していたわけではないが、アタッカーとしての責任を感じているようだった。

「今日は(小川)航基くんとの関係があまりなかったので、そこを増やせるように修正していきたい」とマンチェスター・シティからハート・オブ・ミドロシアンに期限付きで所属しているアタッカーは、攻撃陣の課題を口にする。

「(その理由は)距離感ですかね。僕と(旗手)怜央くんが、ちょっと外に出すぎていたかな。ボールが入った時に、航基くんや(上田)綺世との距離が遠かったので、自分がワンタッチで当てて中に入っていけるようなポジショニングをしないと。組織が強みの日本なので、その距離感は必要」

 巧みにボールを引き出して、攻撃を活性化させたことについても、それだけでは満足しない。

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